移植
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初診時にBMI25以上であった当院腎移植ドナーの減量効果の検討
北岡 壮太郎森田 伸也松本 一宏篠田 和伸吉田 理浅沼 宏中川 健大家 基嗣
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s287_2

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抄録

腎移植ドナーはガイドライン上BMI25以下への減量に努めるよう定められているが,減量自体を評価した報告はほとんど見られない。今回当院の腎移植ドナーにおいて,初診時にBMI25以上であったが術前にBMI25未満を達成したドナーの減量効果を,減量未達成のドナーと比較し検討した。【対象】2012年以降の当院68例の腎移植ドナーのうち,初診時にBMI25以上であったのは17例(平均初診時BMI: 26.3,25.0-30.5),うち手術直前にBMI25未満の減量を達成したドナーは6例であった(減量達成群,平均術前BMI: 24.12)。減量未達成群11例(平均術前BMI: 26.02)と比較し,初診時BMI・年齢・男女比・初診時血清クレアチニン値に差はなかった。【方法】術前血圧・手術時間・気腹時間・出血量・温阻血時間・周術期血清クレアチニン値・術後1年血清クレアチニン値について減量達成群,未達成群で比較検討した。【結果】減量達成群では手術時間と温阻血時間が有意に短いという結果であった(平均手術時間: 320.8 vs 350.1 (min) p=0.044,平均温阻血時間 : 233.2 vs 299.1 (sec) p=0.041)。気腹時間と出血量は,有意差はないものの減量達成群が低い傾向にあった。術前血圧および周術期・術後1年クレアチニン値は両群で有意差を認めず,初診時よりBMI25未満であった減量不要群とも有意差を認めなかった。【考察】腎移植ドナーにおけるBMI25未満への減量は,温阻血時間を短縮させ移植腎機能の温存に貢献する可能性が示唆された。

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