2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s341_2
本邦における脳死肺移植の現状から、特定の感染症や肺高血圧症を合併症のしていない症例はドナーシェアリングの観点から片肺移植が第一選択とされる。脳死片肺移植の適応疾患のうち半数以上を占めるのが間質性肺炎であり、移植後の成績を良好とするために脳死片肺移植後の間質性肺炎症例の長期管理は重要と言える。おもな移植後合併症は拒絶と感染症である。移植後の経過観察中に残存肺に浸潤影が出現した場合、急性拒絶反応や各種感染症に加え、間質性肺炎急性増悪も鑑別として考える必要があるが、移植後残存肺における急性増悪に関するまとまった報告はなく、国内外からの症例報告が散見される程度である。発症頻度など不明な点も多く、また残存肺の間質性肺炎に対する治療介入についても一定の見解は得られていない。
そこで今回、当施設でこれまで実施した肺移植症例のうち、間質性肺炎に対して脳死片肺移植を実施した症例について後方視的に検討を行った。その結果、移植後に残存肺における間質性肺炎急性増悪を来した症例は1例も認められなかった。症例数が限られており因果関係の言及は困難であるが、移植後残存肺における間質性肺炎急性増悪の発症抑制と関連が推測される機序や因子について文献的考察を加えて報告する。