2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s309_2
【目的】異種移植の臨床応用には、細胞性異種拒絶反応の制御が不可欠である。私達はヒト由来分子を異種細胞に導入し、その拒絶が制御可能か検証している。【方法】ブタ血管内皮細胞(SEC)にヒトCD31遺伝子を導入、SEC/hCD31を樹立した。ヒト末梢血単核球由来のNK細胞のCD31発現を確認し、これをナイーブSEC及びSEC/hCD31と共培養し、細胞障害活性をWST-8法で測定、CD31同士の結合により誘導されるNK活性抑制効果を調べた。次に、共培養によって生じる脱顆粒はhCD31の導入でどの程度抑制されるかNK細胞の脱顆粒マーカーであるCD107a発現をFlow Cytometryで評価した。【結果】NK細胞 による細胞傷害活性はナイーブSECに比較してSEC/hCD31では有意に抑制された(45.2% vs. 36.8%, p=0.0362, N=15)。CD107aを用いた脱顆粒アッセイでは、ナイーブSECに比してSEC/hCD31ではCD107aのMFI(113.6 vs.39.8, p=0.0189, N=5)及びCD107a陽性細胞率(4.284% vs.1.476%, p=0.002, N=5)共に有意に抑制されていた。【結論】SECへ導入されたヒトCD31は、NK細胞による異種拒絶反応を有意に抑制した。今後、ヒトCD31によって入力される抑制シグナルの詳細を解析する。