移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
ヒトCD31分子の異種細胞への導入はNK細胞誘導異種拒絶反応を抑制する
古形 修平前田 晃羅 ペイ淇家光 恵心谷 牧子Gadomska Katarzyna高瀬 洪生正畠 和典神山 雅史江口 寛田口 卓良河村 拓史奥山 宏臣宮川 周士
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s309_2

詳細
抄録

【目的】異種移植の臨床応用には、細胞性異種拒絶反応の制御が不可欠である。私達はヒト由来分子を異種細胞に導入し、その拒絶が制御可能か検証している。【方法】ブタ血管内皮細胞(SEC)にヒトCD31遺伝子を導入、SEC/hCD31を樹立した。ヒト末梢血単核球由来のNK細胞のCD31発現を確認し、これをナイーブSEC及びSEC/hCD31と共培養し、細胞障害活性をWST-8法で測定、CD31同士の結合により誘導されるNK活性抑制効果を調べた。次に、共培養によって生じる脱顆粒はhCD31の導入でどの程度抑制されるかNK細胞の脱顆粒マーカーであるCD107a発現をFlow Cytometryで評価した。【結果】NK細胞 による細胞傷害活性はナイーブSECに比較してSEC/hCD31では有意に抑制された(45.2% vs. 36.8%, p=0.0362, N=15)。CD107aを用いた脱顆粒アッセイでは、ナイーブSECに比してSEC/hCD31ではCD107aのMFI(113.6 vs.39.8, p=0.0189, N=5)及びCD107a陽性細胞率(4.284% vs.1.476%, p=0.002, N=5)共に有意に抑制されていた。【結論】SECへ導入されたヒトCD31は、NK細胞による異種拒絶反応を有意に抑制した。今後、ヒトCD31によって入力される抑制シグナルの詳細を解析する。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top