2015 年 1 巻 2 号 p. B_76-B_81
パーソントリップ (PT) 調査を代表とする交通調査の手法が,訪問留置・訪問回収型から郵送・Web 併用型に変化している.調査の目標回収率は 20~30%が想定されているが,調査結果の質を維持するためには高い回収率が求められる.訪問型調査の場合は,回収率が低い地区では調査員が追加で調査を実施するなどの方法があったが,郵送型調査において回収率が低い場合の対応方法は確立していない.本稿では,2012 年熊本 PT 調査で実施された,郵送型調査における速報データを利用した動的な予備調査票投入方法を紹介する.この方法は,調査の速報データから年齢別・ゾーン別の想定回収率を算出し,その想定回収率が目標回収率と比較して統計的に有意に低い場合は,追加で予備票を投入するものである.この提案手法の妥当性を簡易に分析し,今後の展開可能性についても議論する.