交通工学論文集
Online ISSN : 2187-2929
ISSN-L : 2187-2929
1 巻, 2 号
特集号
選択された号の論文の39件中1~39を表示しています
特集号A(研究論文)
  • 飯田 克弘, 日笠 誠
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_1-A_9
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    近年、都市高速道路のネットワーク形状は複雑化し、運転者に行先案内情報を適確に伝達することが求められている。しかし、案内標識・路面標示など情報提供施設単体の標示内容・デザインの検討は行われているものの、これらの配置に関しては十分な検討が行われているとは言い難い。そこで本研究では、ドライビング・シミュレータを用いた室内走行実験を通じて、交通量レベルを考慮した、情報伝達効果の高い案内標識・路面標示の配置方法について検討を試みた。その結果、案内標識は1 回の配置で情報伝達効果が高いこと、路面標示は視認性の向上や複数回配置をすることで情報伝達効果が向上することが分かった。一方、運転者心理からは、前方に高車が存在する場合に案内標識の注視時間が制限され、走行中の煩わしさが増加することが把握できた。
  • 飯田 克弘, 面屋 菜波
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_10-A_18
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    現在、図形情報板に関する規定は無く、そのデザインは多様化している。道路ネットワークの進展を考慮すれば、利用者視点も踏まえて分かりやすいデザインの指針を得ることが求められている。本研究では、名神高速道路・草津 JCT の図形情報板を対象として、利用者要望に基づく図形情報板の情報表記方法の変更が、理解しやすさなど図形情報板に求められる機能に及ぼす影響を、室内走行実験を通じて把握した。その結果、情報量の削減という要望に基づき、選択経路から再分岐する路線の行き先表示や、閉空間を構成する路線のうち所要時間提示地点に接続していない道路線表示など、必ずしも提示が必用で無い情報を削除した場合、図形情報板の機能が高まり、利用者に支持されることが明らかになった。
  • 下川 澄雄, 森田 綽之, 小山田 直弥
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_19-A_25
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    現行の道路計画設計では、ある条件のもと設定された種と級、並びに設計速度によって横断面構成や線形要素などの道路構造が決定される。しかし、これは、個々の道路が本来担うべき機能とサービス水準を保障したものではない。特に、通行機能が重要視される道路においては、目標旅行速度を明確にしたうえで、現状におけるそれらの達成状況と道路改良等による達成の可能性を照査する必要がある。そのためには、旅行速度を低下させる要因とその関係を定量的に明らかにする必要がある。本研究では、その一環として、道路構造と旅行速度との関係について分析を行い、縦断線形、車道幅員、平面線形と旅行速度とは一定の関係がみられることを明らかにした。さらに、これらを定式化し、一定の速度サービスを実現するための道路構造条件を提示することができた。
  • 伊勢 昇
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_26-A_31
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    近年、我が国の地方部を中心に深刻化しつつある買い物弱者問題は、地域レベルでの対応が求められる非常に重要な課題である。それゆえ、これまでに地域レベルでの買い物弱者人口推計手法の確立のための基礎的研究が進められてきた。しかしながら、地域に合った買い物支援策を検討する上では、買い物弱者数に加えて、買い物弱者の種々の買い物支援策に対する需要量とそれによって得られる利益の推計が必要であると考えられる。そこで、本研究では、個人属性と地域特性を考慮した買い物弱者の買い物支援策(買い物行動様式)の利用頻度及び支払意思額に関する要因分析を行うことで、種々の買い物支援策の需要量とそれに伴う利益に関する推計手法確立のための基礎的知見を得ることを主たる目的とした。
  • 稲吉 龍一, 武藤 憲弘, 能登屋 駿人, 赤羽 弘和
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_32-A_39
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究は、高速道路のサグ渋滞発生時の交通容量増大を目的として、追越車線の走行車両に LED 表示板等により車線変更を働きかけ、車群を分断して減速波の伝播、増幅を回避する方策の効果を検証した。 4 回にわたる渋滞発生状況を 11 台のビデオカメラにより撮影し、約 1.2km の観測区間において個々の車両の 1/30 秒毎の走行軌跡データを推定し、渋滞発生直前の実際の車線変更挙動データを計 177 サンプル抽出した。これらに基づき、前方/後方ラグ等とそれらの交互作用項を説明変数とする微視的車線変更モデルを同定し、約 83%の的中率を達成した。このモデルをモンテカルロシミュレーションに適用し、30%の運転者が車線変更の意志を有した場合には、隣接車線で渋滞を誘発することなく車群分断できる可能性を示した。
  • 鈴木 雄, 松橋 龍平, 浜岡 秀勝
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_40-A_46
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、自転車の車道走行台数に着目して、自転車利用者の車道走行意識に関する分析を行った。 自転車が車道を走行していることで、さらに自転車の車道走行が促進されると考えられる。自転車の車道走行率へ影響する要因の把握を行うために、意識調査を実施した。意識調査では、道路構造や交通特性の組合せがそれぞれ異なる自転車走行空間の動画を、自転車利用者に評価してもらっている。意識調査の分析の結果、路肩の幅員や、歩道幅員が自転車の車道走行へ大きく影響していることが明らかとなった。また、車道走行自転車台数では、自転車の車道走行を促進する可能性があることも明らかとなった。車道走行自転車台数が 0 台から2 台になることで、自転車の車道走行が大きく促進される結果となった。
  • 金子 雄一郎, 田中 瑛
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_47-A_53
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究は東京圏の高齢者を対象にアンケート調査を実施し、外出状況や公共交通の利用実態などを把握したものである。主な結果として、外出頻度が高い移動目的は買い物と仕事であり、通院は加齢とともに高くなること、外出先は居住地域内が大半で、交通手段は徒歩と自動車が目的に関わらず広く利用されていることが分かった。また、公共交通の利用頻度は鉄道の方がバスより高いこと、頻度自体には、居住地域や就業状況、自動車保有の有無、健康状態、シルバーパスの保有状況等の個人属性が影響を与えていることが分かった。さらに、対象地域では、将来的にも自動車の運転を継続する意思を持つ人の割合が高いことが明らかになった。最後にこれらを踏まえた交通施策の必要性について述べた。
  • - 愛知県日進市をケーススタディとして -
    伊藤 真章, 松本 幸正
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_54-A_61
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    「くるりんばす」 は愛知県日進市のコミュニティバスである.市内では,1 日に 11 便の7 コースの周回バスと 1 コースの中央線が運行されている.1 乗車の運賃は 100 円となっている (中央線のみ 1 乗車 200 円).本研究では,「くるりんばす」 利用者を対象に調査を行い,1 乗車運賃が変更された場合の利用者の利用意識の変化を分析した.その結果,運賃の値上げによって,多くの利用者は利用頻度が減少し,中には利用を断念してしまう利用者も存在することが明らかとなった.また,1 乗車運賃の変更による利用者の利用頻度分布を推定する利用構造モデルを構築した.その結果,現状のバスの利用頻度によって1 乗車運賃の変更が利用者に与える影響は異なり,特に利用頻度の低い利用者ほど 1 乗車運賃の変更による利用頻度の変化が大きいことが明らかとなった.
  • 三村 泰広, 野田 宏治, 山岡 俊一, 荻野 弘
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_62-A_68
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    海外では、生活道路における通常の物理デバイスの導入が困難な箇所における速度抑制策として Dynamic Speed Display Sign が導入されている。DSDS の導入効果を期待するためには、効果を高める情報提供内容や、効果の範囲を予測した導入すべき箇所に関する慎重な検討が極めて重要である。生活道路におけるDSDS の導入がほとんど検討されていないわが国において、これらの点を明示することは少なくない意義があると考える。本研究は、情報提供内容に着眼点を置き、速度超過しなかった運転者に対して最高速度規制を遵守したという事実を伝える「遵守情報」の提供の影響について、提供後の速度変化、機器評価や受容性の視点から、速度超過した運転者に対する「超過情報」の提供の影響との比較分析を通じて明らかにする。
  • 大原 美保, 佐原 孝紀, 藤生 慎
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_69-A_78
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    近年,車載機により災害情報の提供を可能とする道路交通情報システム (次世代 VICS) の検討が進んでおり、この技術が実装されれば、車両の走行位置に応じた災害情報の受信が可能となる。本研究では、次世代 VICS 構想を踏まえ、将来的なサービス導入によりカーナビ画面を介した災害情報の提供を開始した場合の伝達効果を推計した。まず初めに、豪雨時に走行していたドライバーへのアンケート調査に基づき、ドライバーへの情報リーチ率の推計式を得た。次に、推計式とパーソントリップ調査データを用いて、神奈川県の相模川および金目川水系において、洪水ハザードマップにおける浸水想定区域内でのドライバーへの情報提供効果の定量的評価を行ったところ、新たなサービス導入はドライバーへの災害情報リーチ率を高める効果があることが確認された。
  • 多田 昌裕, 飯田 克弘, 安 時亨, 山田 憲浩
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_79-A_87
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    筆者らは,先行研究の事故調書解析によって,接触と追突という異なる形態の事故が高速道路の本線料金所において,どちらも多く発生していることを明らかにした.一方,交通コンフリクト指標として汎く用いられている TTC は,計算の際,各車両を点として扱うために,衝突形態(接触事故,追突事故の別)の判別が困難であるという問題があった.そこで,本研究では車両の大きさを考慮に入れることで,衝突形態を把握できるよう工夫した 2 次元 TTC を用い,西名阪道・柏原 TB の交通流データ(23.5min,845 台)を解析した.その結果,TTC が 3 秒以下となった 11 件の事例のうち,5 件は接触事故,6 件は追突事故の危険性を示唆するものとなり,柏原 TB において接触事故と追突事故,それぞれのリスクを高めるような交通状況が同時に発生していることが明らかとなった.
  • 飯田 克弘, 坪井 貞洋, 多田 昌裕, 山田 憲浩
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_88-A_96
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    現在、高齢者による交通事故発生件数の増加が懸念されているが、広告・啓発活動を主とする現行の事故対策は、高齢者に対して十分な効果を発揮しているとは言い難い。そこで、本研究は高速道路上の事故多発地点であるトンネル部を対象とし、運転者の注視、意識等を、高齢者と非高齢者で比較することで、高齢者が知覚、認知、判断、行動からなる運転過程のどの部分で、事故リスクを高めているのかを検討した。その結果、高齢者は前方車両を知覚・認知している場合でも、行動過程において追突事故リスクを高める運転挙動をとる傾向にあることが分かった。さらにその理由として、判断過程において、前方車両への注視に、前方車両への意識、トンネルへの注意が伴っておらず、追突事故自体に対する意識・警戒が非高齢者と比べて低いことが明らかになった。
  • 井村 公一, 小嶋 文, 久保田 尚
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_97-A_106
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    近年,自転車利用者が増加していると共に自転車事故も増加しており,特に高齢者や幼児同乗の事故が目立っている.これは発進時のふらつきが一因とも考えられる.このような背景から,本研究では電動二輪モビリティの 1 つであるフル電動自転車に着目した.フル電動自転車は,現在の日本の法律では自転車として位置づけられていないが,スロットルの操作のみで走行可能なため,発進時のふらつきを軽減でき,従来の自転車より安全・安心に走行できる可能性がある.そこで,フル電動自転車の安全性及び快適性について乗車実験を行い,普通自転車,電動アシスト自転車と比較分析した.その結果,発進時では従来の自転車よりふらつきを軽減でき,また快適に走行できることが明らかとなった.一方で,車両の重量などの課題が残っていることもわかった.
  • 後藤 梓, 中村 英樹
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_107-A_115
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    階層型道路ネットワーク計画では,個別道路の設計・運用に際して目標となる階層数・階層別目標旅行速度・道路間隔について,拠点配置特性や需要特性,目標旅行時間を考慮して適切に設定することが重要である.本論文では,これらの値を目標旅行時間達成状況と建設費用に基づいて設定する手法を提案 する.ここでは,トラフィック機能とアクセス機能のトレードオフ関係から変数の組み合わせが現実的であり,かつ比較検討可能なシナリオ数とするため,接続階層間では目標旅行速度比と道路間隔比の間に比例関係を仮定し,さらに目標旅行速度が最低と最高となる階層をそれぞれ所与とする.この手法のもと,典型的な拠点配置,格子状ネットワークを想定したケーススタディを行い,階層数が拠点間距離別旅行時間や建設費用に及ぼす影響について考察を行った.
  • 喜多 秀行, 辻 皓平, 四辻 裕文
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_116-A_122
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    過疎地域などの公共交通サービス水準が低い地域では,住民はその環境に適応して活動のニーズを低めに形成する可能性がある.故に公共交通計画を策定する際,住民の活動機会に着目すべきである. 著者らは活動機会の大きさを測定する一連のアクセシビリティ指標を提案している.しかし,公共交通利用者の活動機会に影響を与えると考えられるバスダイヤ,バス停までの歩行による疲労,活動を行う施設の営業時間帯などといった要素を統合的に評価するような指標は存在しない.そこで,本研究では既往研究を踏まえ,公共交通利用者の活動機会の大きさを測定する指標を構築する.さらに,指標を計画情報として用いる場合の測定法を提案する.
  • 井ノ口 弘昭, 秋山 孝正
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_123-A_132
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    近年提案されている街区型環境未来都市では、都市活動に加えて、空間移動の低炭素化を目指している。そこで、本研究では、街区型環境未来都市の道路交通に関して、電気自動車(EV)を含む交通運用を考える。ここでは、特にEVの加速性能に着目し、EV普及による道路交通流へのインパクトを算定する。このとき、二酸化炭素排出量を算定可能な道路交通シミュレーションを導入する。個別EVの走行状態に基づく、街区ネットワークの交通状態を算定した。この結果、EVの普及による道路交通の時間短縮効果が算定された。また、将来的な道路交通運用として、街区内のEV専用ゾーンを想定して環境影響評価を試みた。これより街区単位の交通運用として、環境負荷・道路交通状態の両面から有効性が検証された。
  • 藤垣 洋平, 高見 淳史, 大森 宣暁, 原田 昇
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_133-A_141
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、自動車運転の代替となりえるような、定額制で呼び出しから乗車までの待ち時間が平均で 10~30 分程度の高利便性の乗合タクシーに均衡分析手法を適用することで、料金や台数などを変数として収益を最大化する手法を提案する。均衡分析では、待ち時間の増減と利用者増減のフィードバック関係を対象に、運行シミュレーションから導かれるパフォーマンス関数と需要関数を組み合わせ、均衡利用者数を求める枠組みを乗合タクシーに適用する。さらに、均衡利用者数が料金の関数となることを利用して、利益を最大化する料金と台数を導出する最適化手法の枠組みも定式化している。また、具体的な住宅地域を対象にして、利用意向調査から推定した需要モデルと、独自に構築した運行シミュレーションを用いて、均衡値および最適値の計算例を示している。
  • 鈴木 弘司, 堀 将誌
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_142-A_148
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究は,自転車利用者の経路選択意識に着目したアンケートを実施し,トリップ長や車種による意識の違い,利用者属性と重視項目の関係性や,経路選択要因を分析した.まず,経路選択時の重視項目に関する集計分析より,スポーツサイクル(SC)の利用者はシティサイクルの利用者に比べ,走行時の衝撃や妨げとなるものが少ない経路を望んでいることや,トリップ長が長い利用者の方が短い利用者よりも,走行時の安定性を求めていることを示した.次に,経路選択の評価項目に関する判別分析を行い,各評価項目に影響を及ぼす利用者属性について特定した.最後に,因子分析を行い,自転車利用者の経路選択に関する潜在的要因を明らかにし,車種やトリップ長の違いによる各因子への影響を考察した.
  • 川崎 智也, 轟 朝幸, 西山 翔太郎
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_149-A_157
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、千葉県山武市のデマンド型乗合タクシーにイールドマネジメントの導入を想定し、既存交通手段との交通手段選択モデルを構築し、利用者数及び収益への影響を分析した。分析の結果、割引額を大きくすると乗合タクシーの利用者数が増加した。現状の乗合タクシーの運賃である 300 円を基準にすると、運賃が 100 円の場合、約 4%利用者数が増加することが示された。しかし、一人当たりの運賃が低いため、全体の収益は最小となった。設定金額を 300 円以上に設定すると、利用者数は減少するものの、設定運賃を低くするよりも、収益への影響は比較的小さいことが明らかになった。また、キャンセル料ありの場合はキャンセル料なしの場合と比較して、乗合タクシーの選択確率が約 4%低くなることが明らかになった。
  • 塩見 康博, 小園 達也
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_158-A_164
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    高速道路単路部ボトルネックでは交通流が追越車線に偏り,本来想定されている交通容量に満たない交通量で渋滞が発生することが知られている.しかしながら,車線交通量が偏るメカニズムについてはこれまでに明らかになっていない.そこで本研究では,一般的な車両感知器で収集されるデータと多車線マクロ交通流モデルに基づいて車線利用特性を把握する新しい方法を構築し,車線利用が偏るメカニズムについて考察を行う.具体的には,交通密度-車線利用率の関係曲線の観測値とモデルによる推定値が整合するよう,多車線交通流モデル内の車線選択に関わる未知パラメータを推定し,その解釈を行う.分析の結果,サグ底に至るまでは第2走行車線の利用が多くなる一方,サグ底から上り勾配にかけて交通量が追越車線にシフトする傾向が示された.
  • 田尾 圭吾, 橋本 成仁
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_165-A_171
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    中山間地域では、民間バスの不採算路線の廃止・減便などの問題が顕在化しつつあり、各自治体により公共交通再編に向けた取り組みが行われているものの、充分なバスサービスを提供することは困難な状況にある。自動車を利用すれば往復1時間程度で通院・買物ができるにも関わらず、バスを利用する1日がかりになる地域も存在する。そこで本研究では、バス利用者・非利用者別に、アクセシビリティや個人属性、バスサービス評価等、どのような要因から将来の移動手段に対する不安を感じているのかを把握した。その結果、バス利用者・非利用者ともに、将来の移動手段の不安にはアクセシビリティの違いが大きく影響を及ぼしており、将来住民が安心してバスを利用するためにも、将来の移動手段に対する不安を減少させていくことが重要であることが示された。
  • 鳩山 紀一郎, 平松 大輝
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_172-A_178
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    従来,津波から避難する際に自動車を使用することは原則として禁止されてきた.しかし,東日本大震災において避難者の半数以上が自動車を使用したという事実から,津波からの自動車避難を検討し始める自治体が徐々に現れ始めている.そこで本研究では,津波からの自動車避難の可能性を考える際に重要となる視点を整理した上で,津波浸水域のうち徒歩での避難が困難である領域を,徒歩避難速度を用いて峻別する方法を提案した.また,避難に求められる速度から徒歩避難の困難さを示す指標を,道路の交通容量から自動車避難の困難さを示す指標をそれぞれ考案し,これらを用いて具体的な避難方針設計について検討した.最後に,本研究で提案した手法を,試行的に高知県安芸市を例に適用した.
  • 辰巳 浩, 堤 香代子, 藤林 航, 吉城 秀治
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_179-A_186
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究は、地方都市における公共交通等での乳幼児連れ利用者の行動に関する意識を把握することを目的とする。そこで、地方都市であり、かつ公共交通が一定程度利用されている福岡市を対象にアンケート調査を行った。まず、乳幼児連れの人々が公共交通の優先席を利用することに関し、乳幼児連れの人々自身の意識と、乳幼児以外の子供を持つ人々および子供を持たない人々の意識を分析した。次にベビーカーをたたまずに公共交通やエレベーターで使用することに対する乳幼児連れの人々自身の意識と、乳幼児以外の子供を持つ人々および子供を持たない人々の意識について分析した。さらに、公共交通の車内で乳幼児がぐずることに対する意識、航空機の乳児連れ優先搭乗に対する意識、乳幼児連れ優先駐車スペースに対する意識についても同様に分析した。
  • 轟 直希, 柳沢 吉保, 高山 純一, 長峯 史弥
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_187-A_196
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    歩行者の歩行空間満足度調査や歩行者挙動の計測結果に基づき、歩行者優先道路に求められる歩行環境要素の抽出が行われてきた。しかしながら満足度評価が高い歩行者優先道路整備のため、より具体的な整備および設計指針を示すことが課題となっている。本研究は、長野市中心市街地における歩行者優先道路の社会実験時に実施した歩行者行動計測と歩行空間満足度調査に基づき、歩行者の「直進」「左右回避」「錯綜」「追従」「停止」行動の選択率と、歩行速度、密度等を明らかにするとともに、歩行空間形状と計測した歩行者行動と歩道利用状況データを原因因子とした歩行空間評価意識構造モデルの構築を行う。モデルに基づき、歩行者優先道路における歩行空間満足度評価と歩行空間を設計するときに重要な歩行空間サービスレベルとの関係を明らかにする。
  • 藤井 篤史, 宇野 伸宏, 中村 俊之, 山本 浩司
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_197-A_206
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    近年,高速道路休憩施設の魅力向上に伴い,特定の休憩施設に需要が集中し,混雑が発生している.この対策として,高速道路会社では高速道路を走行するドライバーに対して,休憩施設誘導情報板により,休憩施設駐車場の混雑情報を提供することを通じて,駐車が可能な混雑度の低い休憩施設の利用を促している.しかし,本線上の休憩施設誘導情報板の混雑情報と実際に車両が到着したときの休憩施設の混雑状況に乖離が生じている.そこで本研究では,複数の休憩施設の駐車状況データ,高速道路本線の交通量データを用いて,高速道路休憩施設駐車率を予測するモデルを構築した.構築した混雑予測モデルを高速道路上での休憩施設誘導情報板に活用することで,混雑状況の情報乖離の改善可能性が示唆された.
  • 柳原 正実, 宇野 伸宏, 中村 俊之
    2015 年 1 巻 2 号 p. A_207-A_216
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    ドライバーが時々刻々運転について考えていることを運転意図と呼ぶ.本稿は,外部刺激によって車両挙動が変化する様相を運転意図に基づいて分析する手法についてまとめている.運転意図は「追従する」,「減速する」などの分類可能なドライバーの運転方針を示し,ドライバーの運転行動を把握する上で重要な要素である.本稿では模擬走行実験後の被験者へのインタビューによって,直接的な運転意図の取得を試みた.取得した運転意図に関して,走行実験中における合流支援の為の情報提供に応じた運転意図の変化が観測されることを明らかにした.また運転意図を考慮した分析において,情報提供と運転意図の関係,運転意図とドライバーの運転行動との関係それぞれを独立して把握できることを示した.
特集号B(実務論文)
  • 佐々木 卓, 錦戸 綾子, 足立 龍太郎, 高山 敏典
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_1-B_9
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究は、首都高速道路の利用動態を把握する新たな手段・方策の一つとして、携帯電話の位置情報より、首都高利用トリップ抽出の可能性を検討するものである。具体的には首都高利用データ判定ロジックによる抽出精度向上を目的に、実験端末機を搭載した車両により、首都高および首都高と並行する一般道を同時間帯にそれぞれ走行し、検証データを取得した。そのデータから首都高利用データ判定ロジックを用いたデータ抽出による検証を行った。また、同ロジックによる首都高利用推定台数と車両感知器の断面交通量との時間帯別での推移を比較し、その抽出ボリュームの妥当性を検証した。
  • 萩原 亨, 川村 彰, 佐々木 伸, 髙木 一誠
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_10-B_17
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    雪で路面が覆われた夜間において道路線形を示す施設として、帯状ガイドライトが最近新たに開発された。帯状ガイドライトの設置効果を明らかにするため、ドライビングシミュレータを用いて、ドライバの主観的メンタルワークロード、道路線形認知、走行速度、操舵、反応時間に与える影響について評価した。20 代から 60 代の 25 名のドライバが実験に参加した。帯状ガイドライトは、雪で路面が覆われた夜間においてドライバの主観的メンタルワークロードを軽減する効果があるといえた。また、帯状ガイドライトによって、進行方向、路肩の位置、自分の位置などの道路線形認知が容易となった。さらに、操舵角の平均値や標準偏差が小さくなり、客観的なメンタルワークロードの軽減も示された。
  • 日野 泰雄, 向井 一雄, 水上 和也, 森田 隼一
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_18-B_25
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    少子高齢化と同時に人口減少が進む中、賑わいづくりもまた、まちづくりの重要な要素となっており、そのためには、特に高齢者を中心に外出機会を提供するとともに、移動のしやすさや同伴移動の推奨などによる移動支援が求められていると考えられる。そこで、本研究では、このような高齢者にとって移動しやすいまちづくりの実現を念頭に、「日曜日同伴者割引」、「通院利便性の向上に合わせた路線バスのコミバス同一区間同一料金」、「高齢化率の高い地区でのフリー乗降サービス」を新たに導入し、利用実態と利用者や市民意識の調査を実施した。その結果、これらのサービスの有用性と今後の展開に向けた課題を抽出することができた。その成果は、今後の高齢化社会におけるまちづくりと一体となったバスサービスの実現の先例を示すものと考えられる。
  • 石田 貴志, 野中 康弘, 米川 英雄
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_26-B_31
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    これまで都市間高速道路単路部おける渋滞定着現象を明示的に実証した研究は少ない。また、渋滞定着現象を検証していても約 2km 間隔で設置された車両感知器に基づくものに限る。サグ部における渋滞発生メカニズムを解明するにあたっては、渋滞先頭地点(ボトルネック)を発生地点と定着地点に区分して捉え、様々なボトルネックにおける渋滞定着現象の実証と知見の蓄積が望まれる。本研究は、名神高速道路(上)一宮IC~一宮JCTの約 4km を対象に、可搬型簡易車両感知器を設置し交通現象を観測する実験を行い、300~700m 間隔の車両感知器データを用いたミクロな視点での渋滞定着現象の検証を行った。また、LED 標識車を用いた渋滞定着地点における速度回復促進情報の提供実験を実施し、渋滞定着地点の変化を分析した。
  • 松下 剛, 吉川 貴信, 石田 貴志, 野中 康弘
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_32-B_39
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    高速道路の道路管制では、本線上に設置されている車両感知器や CCTV 画像、道路巡回で検知した渋滞や交通事故、故障車等の様々な事象を可変情報板やラジオ等の道路交通情報提供装置により提供している。提供内容は現在の交通状況が対象となっており、将来の交通状況の変化については提供されていない。本研究では交通事故、工事、故障車といった突発事象発生時における所要時間予測システムを構築し、広島空港利用者 20 名を対象とした情報提供実験を 3 ヶ月間実施した。実験に際しては、GPS による移動データと WEB ダイアリーによる日々の意識データの取得を行い、空港アクセス行動の変化を分析した。分析の結果、突発事象発生情報と予測所要時間情報が利用交通機関や出発時刻等の行動変更を支援したことを明らかにし、これら情報提供の有用性を実証した。
  • 元田 良孝, 宇佐美 誠史, 湯田 直人
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_40-B_46
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    東日本大震災で被災した JR 気仙沼線、大船渡線、山田線では鉄道事業者から臨時的な措置として鉄道敷を利用した BRT(高速バス輸送システム) が提案され、山田線を除き運行が開始されている。しかし鉄道の復旧を望む地元自治体の意向も大きく、BRT の是非について大きな論点となっているが、住民の意見は明らかになっていない。ここでは最も早く BRT の運行が開始された気仙沼線の BRT について気仙沼市民の意識調査を行い、BRT の評価と鉄道復旧意識等について調査を行った。その結果震災前と比べ利用者は減少したが、気仙沼線離れは運転免許保有者と自宅が駅から遠い者が多かった。鉄道復旧意識は高く、最も関係がある要因は、あったものを復旧させるのは当然との考えであった。BRT の評価も影響を与えており、評価が低い程復旧意識が高くなることも明らかとなった。
  • 鈴木 彰一, 田中 良寛, 佐治 秀剛, 牧野 浩志
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_47-B_52
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、2013 年の道路法改正等で示された特殊車両を特定の道路へ誘導する施策の実現を念頭に、ITS スポットにより収集されるプローブデータを、特殊車両自動計測装置から得られる車両の軸重・総重量計測データ、特殊車両通行許可制度により蓄積されている許可証データと組み合わせ、特殊車両の走行状況を確認する方法を提案した。その上で、走行状況確認に必要となる技術のうち、ITS スポットから収集されるプローブデータにより作成される推定走行経路と、許可証データから作成される規定走行経路を照合する手法に関し、特殊車両が許可経路を外れて走行する状況を模擬した実験車両のプローブデータを用いて、複数手法の比較・精度検証を行った。その結果、各照合手法における、違反走行抽出率、判定正解率を明らかにすることができた。
  • 岩岡 浩一郎, 新倉 聡
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_53-B_59
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    わが国では信号現示を設計する場合,安全面の配慮から固定化した現示での運用が前提である。また,円滑化の観点から対向する流入路の通行権を同一現示に付与するのが一般的である。このような設計および運用では交差点容量拡大には限界があるため,近年ムーブメント制御等の柔軟な現示運用が検討されているが,安全性への懸念等から周辺地域での社会的な合意形成が必要であり導入が進展していない。 本稿では,固定的な現示運用を前提とした流入路毎に一つの現示を割り当てるという設計方法を提案する。さらに,ボトルネック交差点に対しての具体的な現示設計,交差点需要率による事前評価および管制データによる効果評価を通じて提案現示の有効性を検証する。
  • 鈴木 一史, 山田 康右, 堀口 良太, 岩武 宏一
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_60-B_67
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    都市間高速道路の渋滞の約 6 割を占める高速道路サグ部の渋滞対策として、速度に応じて一定の車間を維持可能な ACC の活用が期待されている。しかしながらどのような ACC の性能が交通円滑化に寄与するかは、必ずしも明らかではない。そこで、サグ部の渋滞緩和に資するACC の性能を制御規範(車間時間制御または車頭時間制御)、制御目標、加速性能、過渡応答特性の観点から検討し、渋滞発生前の車線利用適正化および車間適正化、渋滞発生後の速度回復を図る渋滞対策サービスについて、ミクロ交通シミュレーションにより各性能案の ACC 車を混入させたときの渋滞発生確率、渋滞発生後捌け交通量を評価した。また、東名高速道路下り大和サグ部を対象に、各渋滞対策サービスを実施した際の ACC 車の混入率に応じた渋滞損失時間の削減率を各性能別に試算した。
  • 森 健二, 横関 俊也, 矢野 伸裕, 萩田 賢司
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_68-B_75
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    普通自転車歩道通行可の交通規制を実施するには、歩行者の通行に支障が生じないよう十分に配慮しなければならない。しかし、生じる支障の程度や歩行者の安全性が阻害される程度を評価するための実用的な基準はなく、自転車の歩道通行の可否を判断するための目安としては現状では歩道の有効幅員がその拠り所となっている。本研究では、普通自転車歩道通行可の実施判断のための新たな指標を提案することを目的として、歩行者のそばをすり抜ける際の自転車の速度及び歩行者との離隔という二つの要素に着目し、これらの実態について調査した。そして、それらが自転車からみた物理的な‘すり抜け幅’と関連していることを示した。さらに、歩行者の危険感を推定する既存のモデルを用いて、‘すり抜け幅’が広がることによる危険感の低減効果について示した。
  • 円山 琢也, 宮原 進, 三ヶ尻 祐司, 佐藤 嘉洋
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_76-B_81
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    パーソントリップ (PT) 調査を代表とする交通調査の手法が,訪問留置・訪問回収型から郵送・Web 併用型に変化している.調査の目標回収率は 20~30%が想定されているが,調査結果の質を維持するためには高い回収率が求められる.訪問型調査の場合は,回収率が低い地区では調査員が追加で調査を実施するなどの方法があったが,郵送型調査において回収率が低い場合の対応方法は確立していない.本稿では,2012 年熊本 PT 調査で実施された,郵送型調査における速報データを利用した動的な予備調査票投入方法を紹介する.この方法は,調査の速報データから年齢別・ゾーン別の想定回収率を算出し,その想定回収率が目標回収率と比較して統計的に有意に低い場合は,追加で予備票を投入するものである.この提案手法の妥当性を簡易に分析し,今後の展開可能性についても議論する.
  • 永田 尚人, 見明 孝徳
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_82-B_89
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    バスターミナルは,鉄道駅前においてはバスと鉄道の接続拠点,鉄道駅から離れた場所においては都市間バスと都市内バスの接続拠点などの機能を果たしている交通結節点である.しかし,国内の既存設備の多くは,昭和 50 年代以前に整備されていることから,施設の老朽化など多くの課題を抱え,更新・再整備の必要性が高まっている状況である.本研究では,供用後長期間経過している比較的規模の大きなバスターミナルで実施した利用者への意向調査をもとに,バスターミナルの評価項目を設定し,当該手法による一般ターミナルを中心とした国内の既存バスターミナルの評価を行った.筆者らによるバスターミナル評価手法は機能的な面での評価手法の一例であるが,今後は空間として印象性や快適な空間デザイン等の定性的な指標を取り入れた分析評価が必要になる.
  • 遠藤 学史, 山口 孝, 平生 整
    2015 年 1 巻 2 号 p. B_90-B_99
    発行日: 2015/02/06
    公開日: 2015/02/06
    ジャーナル フリー
    首都高速道路は、都心環状線および中央環状線の 2 つの環状線と、複数の放射線により高速道路ネットワークを構築している。ネットワークの有効利用や円滑な道路交通状況の実現のため、目的地までに複数のルートが存在する際には、それぞれのルートにおける各種情報提供の精度が重要である。中央環状線内回りの大橋 JCT 付近では、通常の交通集中渋滞時における走行速度の速度域よりも低い速度域の渋滞が観測されており、所要時間の情報提供が実際にかかる所要時間に対して過小となる傾向が課題となっている。 本稿は、低速域の走行速度観測時における所要時間情報 (提供所要時間) と実際にかかる所要時間 (実績所要時間) の乖離実態を調査し、所要時間情報の精度を向上させる方策について提案し、実データを用いて検証を行ったものである
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