生活道路における安全・安心な歩行空間の整備に向けて,運転者に横断歩道の存在を認識させ,横断者に注意を向けさせることが重要である.本研究では無信号横断歩道の視認性を含む道路交通環境が,譲り行動率に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする.大阪市旭区周辺と名古屋市昭和区周辺の21地点で実態調査を行い,譲り行動率を把握するとともに,道路交通環境が譲り行動率に及ぼす影響を分析した.本研究で得られた主な成果は以下のとおりである.1)調査対象地点全体における無信号横断歩道の譲り行動率は49%であった.地点別では最高89%,最低4%と大きく異なっていた.2)両側2車線よりも片側1車線の地点で譲り行動率が高い傾向を確認した.3)横断歩道の視認性に関わる鮮明度が譲り行動率に影響する可能性を示唆する結果が得られた.