2025 年 11 巻 2 号 p. A_170-A_177
高速道路上にはドライバーに危険箇所等を注意喚起するために,看板等の情報提供施設が設置されている.しかし,ドライバーの視覚的注意は進行方向遠前方に強く捕捉される傾向があり,情報提供施設に対して十分な視覚的注意が捕捉されるに至らず,当該施設の発見遅れが生じていると考えられる.発見遅れの緩和には,視覚刺激により進行方向遠前方に捕捉されている視覚的注意を解除すること,視覚手がかりにより標的へ視覚的注意を誘導することが効果的である.そこで本研究では,視覚刺激及び視覚手がかりが標的の発見遅れを緩和するとの仮説を措定し,室内実験により検証した.実験の結果,視覚刺激による視覚的注意の解除及び視覚手がかりによる視覚的注意の誘導が確認され,仮説を支持する結果が得られた.