2025 年 11 巻 2 号 p. A_178-A_187
車道走行を基本とする自転車通行環境整備を進める中で,自動車左折時における自転車との安全性確保の検討が必要となっている.本研究では,左折自動車と錯綜が生じる自転車走行パターンに着目し,自転車と自動車の両者が移動操作を体験できる協調型シミュレータを用いて,交差点の安全施策を評価することを目的とした.既存研究で指摘された左折自動車と錯綜する自転車挙動として,死角並走,廻り込み横断に着目し,安全施策の異なる交差点を対象にした錯綜実験から,TTC および接近速度,被験者の不安感の指標を比較した.その結果,従来型交差点では,自転車通行帯整備,隅角部縮小に危険性の改善効果が見られることが明らかになった.さらに,諸外国で導入が進むプロテクテッド型交差点形式の評価からは,安全性・不安感改善が期待できることが明らかになった.