抄録
交通信号制御は継続的な高度化により交通の円滑化に長年貢献してきたが,制御パラメータ決定において幹線道路同士が交差する重要交差点の交通状況を入力としており,対象道路網全体における最適性を保証するものではないという懸案があった。筆者らは 2005 年に対象道路網における全体最適を指向する一括最適化制御をフィールド適用し効果を確認した。この制御方式は内包する交通流モデルにおいて交差点分岐率を使用しているが,このデータは交通管制システムでの計測からは得られず人手による調査を要するため適用路線の拡大が進展していなかった。そこで,我々は光ビーコンから収集されるアップリンクに着目し,それらを制御方式内の交通流モデル設定に活用するという取組みを試みてきた。本稿では,この取組みの有用性を制御の実運用事例により示す。