2017 年 3 巻 2 号 p. A_153-A_162
近年、自治体や交通事業者だけでなく、地域の住民や民間企業が事業に加わって運営される地域参画型形式による公共交通の取り組みとその有効性が確認されている。しかし、その導入に向けて、利用を希望する人や、事業参画に協力的な人の実態は明らかとなっていない。そこで本研究では、住民の公共交通の維持・存続に向けた支援金支払い意向及び住民間の送迎による相乗り事業への参画・利用意向の実態を把握するとともに、それらに対しどのような要素が影響しているかを定量的に明らかにした。その結果、地域に対する信頼感の向上が支援金支払い意向の向上に影響すること、今後の公共交通の利用意向が相乗り事業の制度に関する意識や相乗り利用意向に影響すること、地域内活動への参加が相乗り事業の参画意向に影響することが、それぞれ示唆された。