2018 年 4 巻 1 号 p. A_1-A_7
本研究では,アイカメラを用いて高齢者 24 名,非高齢者 14 名の実交通環境下における運転行動を計測し,交差点右左折時や生活道路走行時など,複数の交通場面における高齢者と非高齢者の運転行動を比較した.その結果,高齢者は交通量が比較的多く,一度に確認しなければならない対象が多数存在する交差点を右折する場面や,生活道路の交差点クロスマークのない交差点を直進する場面において,安全確認回数が有意に少ない傾向が認められた.また,一時停止規制のある交差点進入に際しての減速時,高齢者は非高齢者よりもルームミラーの確認回数が有意に少なく,自車両後方に対する意識が少ないことが示唆された.以上に加え,高齢者は,道路上に設置された一時停止規制標識への視認回数が非高齢者よりも有意に少ないことが明らかとなった.