2018 年 4 巻 1 号 p. A_8-A_16
わが国の無信号横断歩道では,横断者の安全・円滑な横断が確保されているとは言い難い現状にある.これに対して横断者の優先権を確保するため,近年,「二段階横断方式」すなわち道路中央部に設けられた交通島を利用して横断歩道を二段階で渡る方式が注目されている.しかし,わが国における適用事例はまだ限られており,効果を定量的に示すことが望まれる.本研究では,ビデオ観測データに基づき,横断者の横断判断に対して,横断所要時間および接近する車両の位置と速度が与える影響を分析した.そのうえで,二段階横断方式適用時のクリティカルギャップの変化を,横断者の車両交通流に対するギャップ選択モデルにより推定した.また,このクリティカルギャップを用いて横断者の平均遅れを計算することにより,円滑性の向上効果を定量的に評価した.