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日置 幸希, 多田 昌裕, 飯田 克弘, 岡田 昌也, 蓮花 一己
2018 年4 巻1 号 p.
A_1-A_7
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
本研究では,アイカメラを用いて高齢者 24 名,非高齢者 14 名の実交通環境下における運転行動を計測し,交差点右左折時や生活道路走行時など,複数の交通場面における高齢者と非高齢者の運転行動を比較した.その結果,高齢者は交通量が比較的多く,一度に確認しなければならない対象が多数存在する交差点を右折する場面や,生活道路の交差点クロスマークのない交差点を直進する場面において,安全確認回数が有意に少ない傾向が認められた.また,一時停止規制のある交差点進入に際しての減速時,高齢者は非高齢者よりもルームミラーの確認回数が有意に少なく,自車両後方に対する意識が少ないことが示唆された.以上に加え,高齢者は,道路上に設置された一時停止規制標識への視認回数が非高齢者よりも有意に少ないことが明らかとなった.
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石山 良太, 後藤 梓, 中村 英樹
2018 年4 巻1 号 p.
A_8-A_16
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
わが国の無信号横断歩道では,横断者の安全・円滑な横断が確保されているとは言い難い現状にある.これに対して横断者の優先権を確保するため,近年,「二段階横断方式」すなわち道路中央部に設けられた交通島を利用して横断歩道を二段階で渡る方式が注目されている.しかし,わが国における適用事例はまだ限られており,効果を定量的に示すことが望まれる.本研究では,ビデオ観測データに基づき,横断者の横断判断に対して,横断所要時間および接近する車両の位置と速度が与える影響を分析した.そのうえで,二段階横断方式適用時のクリティカルギャップの変化を,横断者の車両交通流に対するギャップ選択モデルにより推定した.また,このクリティカルギャップを用いて横断者の平均遅れを計算することにより,円滑性の向上効果を定量的に評価した.
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安藤 幹哉, 田中 伸治, 中村 文彦, 三浦 詩乃
2018 年4 巻1 号 p.
A_17-A_22
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
平面交差部では交通量が増加すると、交通処理や安全上の問題が発生する。近年米国では、主交差点での左折と対向直進との錯綜を回避することで、立体交差に比べ低コストで安全性・円滑性を向上できる「Alternative Intersections」が導入されているが、こうした新しい制御方式について、設計に必要な交差点の交通容量の実態はまだあまり明らかになっていない。本研究ではこのうち3つの制御形式 MUT、RCUT、CFI に関して、実測により交通容量の評価を行った。その結果、同じ制御形式でも幾何構造と現示運用により、得られる性能に違いがあることが明らかになった。また複数の制御形式を横断的に評価することで、需要条件に応じた適用性の違いが明らかとなった。
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原田 憲武, 稲垣 具志, 小早川 悟, 山中 英生
2018 年4 巻1 号 p.
A_23-A_29
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
わが国において慣習化している歩道上の自転車の双方向通行について,ドライバーにとって双方向から現れる自転車への注視不足が危険要因となる実態が指摘されている.本研究では,歩道上の双方向通行の危険度についてヒヤリハットの錯綜評価により明らかにすることを目的として,ドライブレコーダデータを用いて急減速発生に至るまでの挙動解析による考察を行った.まず,自転車の挙動に着目したマクロ分析では,自転車の詳細な通行位置による発生状況の違いのほか、通行方向によりヒヤリハット類型の特徴が異なる傾向がみられた.さらに,幹線道路同士の信号交差点で発生する左折時のヒヤリハットについて検討したところ,歩道を逆走して横断する自転車は順走に比べてより自車付近での錯綜が生じており危険度が高いこと等が明らかとなった.
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府川 阿佐美, 稲垣 具志 , 小早川 悟, 寺内 義典
2018 年4 巻1 号 p.
A_30-A_37
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
子どもの交通事故は年々減少傾向にあるが,さらなる交通安全対策が必要である.道路横断に大きな課題を抱える子どもの特性を踏まえ,これまで「認知」における交通安全教育が多くなされてきた.しかし,「判断」を誤ることにより飛び出しに至るケースも考えられることから,道路横断判断の観点を取り入れた教育も必要である.本稿においては,日常生活において最も身近な存在である保護者を対象に自身の子どもの横断判断能力の認識状況を実験により把握した.保護者は子どもが車両速度を考慮して横断可否判断をすると考えがちであり,実際には車両速度を考慮しない子どもの実態との間に乖離が見られたほか,高速車両に対して誤判断率が上昇する実態を認識していてもその深刻度までは理解が不十分であることが明らかになった.
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飯田 克弘, 和田﨑 泰明, 佐藤 久長, 糸島 史浩
2018 年4 巻1 号 p.
A_38-A_46
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
近年,高速道路上の可変式道路情報板の高度化が進められてきている.しかし,設置・更新時期の違いなどが原因で,情報板のシンボルデザインや文字情報の表記方法などの統一がなされていない.特に,現行のシンボルの中には道路利用者に正しく理解されていないものが存在すると指摘されている.そこで先行研究では,シンボルデザインを考案するとともに,2 事象情報板の判読性評価を行った.本研究では,まず先行研究の結果を精査することで,2 事象情報板の表示方法の課題を明らかにした.そして,その課題に基づき情報板表示を新たに考案し,判読性評価を通じて効果を検証した.その結果,重要度の高い課題である第 2 事象の理解度向上は,1 事象情報板を左右に並べたレイアウトにより克服されることが示唆された.
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吉岡 慶祐, 中村 英樹, 下川 澄雄, 森田 綽之
2018 年4 巻1 号 p.
A_47-A_54
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
ラウンドアバウトでは,通常の十字交差点と異なり S 字の走行軌跡が生じるため,安全性・円滑性の観点から適切な走行挙動が実現するような幾何構造設計が重要である.しかし我が国では,ラウンドアバウト特有の走行挙動特性と幾何構造の関係性は明らかになっていない.そこで本研究では,異なる幾何構造を有する 7 箇所のラウンドアバウトにおいて,UAV(無人航空機)による走行挙動調査を実施し,幾何構造が走行挙動特性に与える影響について分析した.その結果,流入部の隅角部曲線半径と流出入部交差角度が,車両に加わる横方向加速度に対して重要な要素であることを明らかにした.さらに,過剰に大きい隅角部曲線半径や,流出入部交差角度が 150°より小さい場合,車両に加わる横方向加速度が小さくなり,速度抑制が得られにくい構造であることを示した.
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下川 澄雄, 小山田 直弥, 吉岡 慶祐, 森田 綽之
2018 年4 巻1 号 p.
A_55-A_63
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
本研究では,通行機能が期待されるものの,それに見合う速度サービスが実現していない道路構造等の要因について容易に明らかにし対応策を見出す手掛かりとすることを念頭においている.具体的には,50~65km/h の旅行速度を有するとされる中間速度層をカバーする 50km/h 以上のサービスを実現するための道路構造条件等を多車線道路および2車線道路の別に明らかにした.この中では,共通条件分析,付帯条件分析というアプローチを提案するとともに,道路交通センサスデータ等を用い全国の都道府県道以上の道路を対象に分析を行っている.また,ここで得られた値を国道バイパスに適用し,性能照査分析に活用できそうであることを確認した.
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伊勢 昇, 湊 絵美
2018 年4 巻1 号 p.
A_64-A_70
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
現在、我が国では、「道の駅」による地方創生拠点の形成が進められつつあり、様々な機能が期待されている。しかしながら、それらの機能の必要性を定量的に評価する方法や考え方が確立されておらず、地域に合った「道の駅」の導入・改善を検討するための十分な知見が蓄積されているとは言い難い。また、それらの機能の中の地域福祉機能に着目した研究はあまり見られない。そこで、本研究では、「道の駅」の地域福祉機能に着目し、地域福祉機能を備えた「道の駅」の周辺地域住民を対象にアンケート調査を行い、周辺地域住民の 1)地域福祉機能の利用実態や 2)地域福祉機能の需要に関する要因について分析することで、「道の駅」の地域福祉機能の必要性に関する定量的評価手法の確立に向けた基礎的知見を得ることを主たる目的とする。
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森本 瑛士, 越川 知紘, 谷口 守
2018 年4 巻1 号 p.
A_71-A_79
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
日本は人口減少・超高齢社会に対応して,公共交通を軸としたコンパクト+ネットワークの実現に向けた計画が進んでいる.拠点間で都市サービス機能を有する施設を補完するためには,拠点に施設が集積していることに加え,拠点間を公共交通で円滑に移動できることが重要である.そこで,本研究は施設集積率および拠点間公共交通所要時間の把握を通じて,各都市がコンパクト+ネットワーク施策を考える際の参考情報を得ることを目的とする.分析の結果,各都市がおかれている相対的なコンパクト+ ネットワークの現状が明らかとなった.また,1)地方圏都市における拠点間の多くで所要時間が60 分を超えていること,2)特にその傾向は他拠点との施設補完が不可欠と思われる施設集積率の低い拠点を含む拠点間にみられることがわかった.
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吉城 秀治, 辰巳 浩, 堤 香代子, 土師 健介
2018 年4 巻1 号 p.
A_80-A_87
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」が制定されたことを受け、自転車専用通行帯の整備が進められている。そして、その路面着色方法については、基本的な整備方針は示されているもののそれ以外の整備も可能としており、実際に全国で様々な路面着色方法が検討、実施されている。そこで本研究では、自転車利用者に対するドライバーからの視認性を確保しつつも景観にも配慮した自転車専用通行帯としていくことが望ましいと考え、路面着色方法の違いが自転車専用通行帯の景観評価と自転車への視認の程度に及ぼす影響を検討した。塗装色、自転車専用通行帯幅員、着色形態、進行方向矢印の 4 要因に着目し、ドライビングシミュレータによる走行実験を通じて、各要因が景観評価および自転車への視認の程度に及ぼす影響を明らかにしている。
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渡邊 秀, 柳原 正実, 小根山 裕之
2018 年4 巻1 号 p.
A_88-A_96
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
サグ部における渋滞対策の一つとして、速度低下の抑制や渋滞の早期回復を目的とする「走光型視線誘導システム」の設置が全国各地の高速道路で行われている。しかしこの走光型視線誘導システムについて、渋滞流中の捌け台数増加効果を高める発光条件に関する研究は多くない。そこで本研究では、発光体による捌け台数増加効果をより向上させるための発光条件に関する知見を得ることを目的として、ドライビングシミュレータを用いて発光体の設置有無・発光体形状および輝度を変更し、比較運転実験を行った。その結果、走光型視線誘導システムが明らかな捌け台数増加効果をもつことを確認できた。 また、発光体形状および輝度を変更することによる効果の違いに関する示唆を得た。
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田部井 優也, 長田 哲平, 大森 宣暁
2018 年4 巻1 号 p.
A_97-A_105
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
本研究では,栃木県に立地する商業施設を対象とし,大規模小売店舗の出店に伴う交通アセスメントの一つである方向別来台数の予測について,その予測手法に着目した分析を行った.実際に方向別来台数を算出する際に用いた商圏設定の実態について,円状の商圏(円商圏)を用いていた店舗が多数を占め,商圏半径は店舗面積によらず任意に設定されていることを明らかにした. 加えて予測精度の向上を目的とし,円商圏の設定値を変化させる手法,店舗への旅行時間を反映した手法(旅行時間商圏)と,それぞれの手法に来店割合を用い店舗間の競合を簡易的に考慮する手法について,実測値と比較することで検証した.検証したすべての店舗において,旅行時間商圏を用いかつ来店確率を考慮する場合,従来の手法に比べ精度が大幅に向上することを明らかにした.
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白柳 洋俊, 田地 竣, 坪田 隆宏, 倉内 慎也, 吉井 稔雄
2018 年4 巻1 号 p.
A_106-A_112
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
本研究は,実走行と DS 内での走行挙動の乖離が運転経験に依存して変化するとの推察の下,運転経験を重ねることによって運転行動を支配する正の強化子に変化が生じること,ならびに運転経験を重ねることによって獲得的運転行動が般化する,との仮説を措定し,停止挙動を対象に,実走行実験と DS 走行実験により両仮説を検証する.実験の結果,運転経験に乏しいドライバーが停止時間に基づいて停止挙動を行うのに対して,経験豊富なドライバーは減速度を考慮して停止挙動を行うことを示し,これは各ドライバーの正の強化子に差異によるものである可能性を指摘した.また,経験豊富なドライバーは実走行時と DS 走行時におけるブレーキ操作が一致,すなわち運転行動が般化していることを示唆する結果が得られた.一方の経験が乏しいドライバーではブレーキ操作が一致しないとの結果が得られた.
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橋本 成仁, 恒藤 佑輔
2018 年4 巻1 号 p.
A_113-A_119
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
バス路線が廃止された地区の住民は、自家用車を利用できない場合、移動手段の確保が困難になるということが大きな課題である。この対策の一つとして、地域の住民自らが運営主体となって生活交通を確保する例が存在しており、経費節減、細かい運行調整、地域のコミュニティ活力向上などのメリットが挙げられることから、全国各地での導入・運行継続が行われている。本研究では、この地域住民が主体となって生活交通を運営する地区において、普段利用しない住民による「支える側の意識」に着目し、住民の暮らしにおける満足度、ひいては主観的幸福感とどのように関係しているかを把握することを目的とする。その結果「支える側の意識」は主観的幸福感に関連しており、ポジティブな影響を与えている可能性が示された。
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松田 啓輔, 柳原 正実, 小根山 裕之
2018 年4 巻1 号 p.
A_120-A_128
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
交差点の安全性や効率性について,交差点構造や現示パターンに着目した研究はあるが,信号灯器の位置に着目した研究は少なく,灯器位置の違いによる運転挙動の違い等の知見も十分に得られていない.そこで本研究では,信号灯器の位置の違いによる運転挙動の違い,行動判断の違い,運転者の感じ方の違いについての有用な知見を得ることを目的とし,信号灯器の位置が運転者の行動・判断に与える影響について,ドライビングシミュレータを用いた実験により得られた運転挙動データを分析した.信号灯器の位置は,現在日本で主流の交差点の奥と,ドイツなどで主流の交差点の手前で実験を行った.分析結果より,通過や停止の行動判断や,停止・発進時の反応時間に違いがみられた.
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竹居 広樹, 奥村 誠
2018 年4 巻1 号 p.
A_129-A_137
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
東日本大震災以降、徒歩避難が困難な地域や人に対して、やむを得ない場合の自動車避難が容認された。自動車避難は、交通渋滞を発生させて津波遭遇リスクを大きくするほか、歩行者との錯綜が交通事故リスクを生むという問題がある。本研究では、セルベース津波遭遇リスク最小化モデルに歩車混合を明示的に組み込んだ最適化モデルを提案し、実スケールの市町村ネットワークに適用して、自動車利用率と津波遭遇リスクおよび交通事故リスクの関係を分析する。本計算例では、津波遭遇リスクを最小化する自動車利用率は 2 割程度で、最短経路以外の経路も使用するが、その結果交通事故リスクが増加する可能性がある。本モデルから得られる交通事故リスクの高い場所と時刻の情報を用いて、交通安全対策を検討する必要性があることを示す。
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西原 大樹, 辰巳 浩, 吉城 秀治, 森 亮太, 畑中 浩太郎
2018 年4 巻1 号 p.
A_138-A_146
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
本研究では、車道端部における路面構造の異なる自転車走行空間を対象に自転車走行実験を実施し、側溝のエプロン幅が自転車利用者の意識や挙動に及ぼす影響について走行空間の幅員や交通状況を加味しつつ分析を行った。まず、走行時の意識については、幅員 1.15m であればエプロン幅が狭くなると有意に安心感が向上する傾向がみられた。また、走行時には特に走行空間の幅員に対して意識を向けている傾向もみられたことから、その影響について挙動面からも分析をおこなった。その結果、自転車走行空間の幅員によらず、エプロン幅の広い標準構造区間に比べ、エプロン幅の狭い省スペース構造区間のほうが走行空間をより広く活用しており、かつ、幅員 1.3m 及び 1.5m 程度であれば自動車からの追い越されに対しては走行空間内の歩道に近い側へと退避する傾向がみてとれた。
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長谷川 悠, 井料 美帆
2018 年4 巻1 号 p.
A_147-A_153
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
本研究では、歩行者の観点からパーソナルモビリティの安全性や快適性の評価を行う際に、ヴァーチャルリアリティを用いての実験が有効なのかどうかを検証するために、VR の現実再現性を確かめその特徴を明らかにした。32 名の被験者に、現実空間とヴァーチャルリアリティ空間の両方でパーソナルモビリティが近づいてくるシナリオを歩行者として体験させ、距離感等の空間的認知と危険度や不快度といった主観的認知を評価させた。その結果、空間的認知においては被験者の視界の前方からやや側方よりパーソナルモビリティが現れる場面に対して、主観的認知においては前方や後方からパーソナルモビリティが現れる場面に対してヴァーチャルリアリティは有効であると考えられることを明らかにした。
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下田 康貴, 森本 章倫
2018 年4 巻1 号 p.
A_154-A_160
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
我が国の交通事故の減少には法改正や道路整備、安全教育等さまざまな要因が考えられる。しかし昨今の交通死亡事故の下げ止まり傾向を踏まえると、第 10 次交通安全基本計画の目標値(年間 24 時間死者数 2,500 人以下)を達成するためには、さらなる交通事故の減少に資する取り組みが必要である。交通事故の抑制につながる取り組みには様々なものが考えられるが、中でも交通取締りは第 10 次交通安全基本計画において重点施策として盛り込まれている。そこで本研究では我が国の交通事故の抑制の一助とすることを目的とし、取締り活動を見せることによる効果を検証した。その結果として取締り活動のうち「警戒」に当たるものの、見せることによる事故多発抑制効果があることがわかった。
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河野 誉史, 森本 章倫
2018 年4 巻1 号 p.
A_161-A_168
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
近年、交通安全対策の一つである交通取締りについて、PDCA サイクルが推進されている。その中で、交通取締り計画が 2011 年より全国の警察署で策定されるようになり、これに基づき実際の取締りが行われている。しかし、これまで交通取締り計画について実態把握や地域比較を行った研究は見られない。 そこで本研究は、北海道警察をケーススタディとし、テキスト分析によって特徴の整理を試みた。その結果、交通取締り計画は 11 のクラスターに分類されることや、レッド警戒など違反検挙を重点としない対策も交通事故抑制効果が期待されていることが分かった。また、策定の共起関係や実施重点は各署に共通する部分と特異な部分が見られ、その一因として地域性や道路環境があげられた。
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安藤 章, 閔 健熙
2018 年4 巻1 号 p.
A_169-A_176
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
本研究は,交通安全対策向上の観点から,交通事故の発生と密接な関係があると考えられる危険運転(例:一時不停止,信号無視,歩行者妨害,速度超過等)の発生傾向を解明することを主目的としている.従来の交通安全に関する研究は,主に道路構造の改良等に主眼を置き,プローブデータによる危険個所抽出を目指していたが,本研究は,交通事故原因の更なる前段要因である危険運転に着目した点が特徴的だといえる.また,分析方法も,従来は行われてこなかったドライブレコーダーに保存された走行中の全映像データの解析を行うとともに,GPS データ等についても効果的に利用している. その結果,危険運転には,ある種の発生傾向があり,ドライバーの属性や運転場所,運転時間に起因することが示された.本研究の成果は,交通事故削減のための新たな市民啓発手法の開発に貢献することが期待できる.
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亘 陽平, 柳沢 吉保, 轟 直希, 成沢 紀由, 高山 純一
2018 年4 巻1 号 p.
A_177-A_186
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
今後の少子高齢化・人口減少への対応として、都市の集約化を駅などの交通拠点を中心にコンパクト化を図る都市構造への移行を推進する地方都市が多い。長野市における都市構造においても駅などの交通拠点を中心としたコンパクト化を図る方針が示されている。立地適正化計画による都市のコンパクト施策を実施するにあたり、拠点とする駅を中心に、都市機能施設の分布状況、および駅を中心とした来街者の移動勢力圏を明らかにする必要がある。そこで、長野市内の鉄道駅を中心とした都市機能施設分布と来街者の回遊行動とを考慮した拠点エリアにおける、各施設分布がトリップに与える影響を明らかにする。拠点間のトリップ数およびトリップ目的の実態を明らかにすることによって、拠点を中心とした都市の集約化を評価するための移動実態を明らかにする。
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小坂田 光, 多田 昌裕, 岡田 昌也, 蓮花 一己
2018 年4 巻1 号 p.
A_187-A_195
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
筆者らは、装着型センサを用いて運転者の行動を計測・評価し、予防安全上の観点から改善すべき点があれば、リアルタイムに音声による安全アドバイスとして提供するシステムの提案・開発をしている。 本稿では、本システムを法定高齢者講習同等講習において試験的に用いることで、リアルタイムにアドバイスを提供することが行動改善にどのような効果をもたらすのか、検証を行った。公道上に設定したコースにおいて、高齢者 72 名をリアルタイムに安全アドバイスを提供した群 36 名と提供しない群 36 名の 2 群に分け、運転行動の改善効果について検証を行った。その結果、リアルタイムに安全アドバイスを提供した群の運転技能評価結果が提供しなかった群に比べて有意に高い結果となり、高齢者の運転行動の改善に一定の効果をもたらすことが明らかとなった。
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平井 章一, XING Jian, 甲斐 慎一朗, 堀口 良太, 宇野 伸宏
2018 年4 巻1 号 p.
A_196-A_205
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
都市間高速道路を対象とした休憩行動モデルの構築を目的に,ETC2.0 プローブデータと休憩施設属性データを用いて,高速道路トリップ中の休憩施設選択行動モデルと滞在時間モデルを構築するものである。まず休憩行動に影響すると想定される休憩施設規模や店舗種別の属性について主成分分析を行い,3 成分で特徴付けられることを示した。次に,休憩施設到達時の行動を「通過/立寄」の 2 肢選択問題として,トリップ文脈情報と施設属性の特徴量を説明変数とした非集計ロジットモデルで尤度比の高い良好なパラメータを推定した。その際,時間帯ダミーはモデル構造を歪めるなど,モデルの精度を低下させる要因を考察した。また,滞在時間が食事施設有無と時間帯に影響されることを示し,それらを考慮した滞在時間モデルを複合ガンマ分布として構築した。
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澤村 悠貴, 塩見 康博, 山本 隆, 山本 浩司
2018 年4 巻1 号 p.
A_206-A_215
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
近年,欧米諸国では動的な交通マネジメントとして可変式速度制限が用いられ,渋滞緩和や事故抑制効果が得られている.しかし,日本における可変式速度制限の効果については未だ明らかになっていない.可変式速度規制を渋滞緩和や事故抑制に資する動的な交通マネジメントのメニューと位置づけるためには,ドライバーが可変式を含む速度規制標識を認知し,且つ規制速度を遵守する必要がある.そこで本研究では,アンケート調査により,可変式速度規制標識の認知度や速度遵守率,及び速度遵守に影響を及ぼす心理要因について分析を行った.その結果,ドライバーの認知度と速度遵守率が定量的に示された.また,「利己的信念」,「規範意識」,「情報への意識」の 3 つの心理要因がドライバーの規制速度遵守意識に影響を及ぼしている可能性が示唆された.
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坪田 隆宏, 吉井 稔雄, 原田 日郎, 神野 裕昭
2018 年4 巻1 号 p.
A_216-A_222
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
道路の交通機能上の性能評価に際し、交通量 Q と旅行速度 V の関係、すなわち QV 関係は重要な役割を果たす。しかし、信号交差点を有する一般道路の QV 関係は、日交通量と日平均旅行速度の関係に留まっており、動的な交通状況変化を取り扱う有効な施策の実施にむけては、より詳細な時間的解像度を有する QV 関係を得ることが必要と考えられる。そこで本研究では、複数の信号交差点を含む道路路線を対象に、路線内で不均一となる交通量の代表値として空間平均交通量を定義した後、複数路線を対象に空間平均交通量と平均旅行速度の関係を分析する。空間平均交通量を説明変数に含み平均旅行速度を目的変数とする重回帰分析を行った結果、決定係数 0.77 の説明力を有するモデルが構築された。また、道路幾何構造に加えて、時間帯の違いが QV 関係に有意に影響を与えることが示された。
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早内 玄, 中村 文彦, 田中 伸治, 有吉 亮, 三浦 詩乃
2018 年4 巻1 号 p.
A_223-A_228
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
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近年、都市内交通としての索道整備が複数報告され、新たな交通手段としての役割が期待されている。 そこで本研究ではトランスポーテーションギャップの考え方に基づき、所要時間の観点から索道の役割を定量的に明らかにすることを目的とする。はじめに、東京都市圏パーソントリップ調査から得られる手段別所要時間分布と人々が受容する所要時間との比較により、都市内交通において現在、既存交通手段では所要時間が受容されない、またはされにくいトリップ距離が複数存在することが明らかとなった。 次に、世界各都市の索道について、同様の比較によりその受容可能範囲が 0.3km~4.2km であることが明らかとなった。最後に両者を重ね合わせた結果、課題の残るトリップ距離のうちおよそ 2~4km の領域における課題を索道が改善しうることが明らかとなった。
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外山 紘己, 小嶋 文, 都築 輝彦, 長泉 泰介, 伏見 孝一, 三浦 哲也, 古城 雅史, 北川 大喜, 久保田 尚
2018 年4 巻1 号 p.
A_229-A_237
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
2016 年に国土交通省から物理的デバイスの指針が示された。このうち、単路部ハンプは、詳細な寸法等が示された一方で、交差点内に設置するハンプは、隅切り部についての検討が十分とは言えない。本研究では、歩道のない交差点の内部にハンプを設置する際の形状について、バリアフリーの観点から検証するとともに、交通静穏化への有効性について検討した。 本研究では、交差点ハンプの隅切り部の横断勾配に関する検討を行い、敷地内実験を実施した後、さいたま市道における社会実験を行った。その結果、車椅子利用者は、交差点ハンプの隅切り部を通行する際にハンプを障害と感じる可能性が見られた。自動車の速度を抑制する効果は確認され、騒音・振動による周辺環境への悪影響や、対象交差点の一時停止挙動に対しての悪影響がないことが確認された。
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飯田 克弘, 和田﨑 泰明, 多田 昌裕, 筑後 智弘, 安 時亨, 澤田 英郎, 紀ノ定 保礼
2018 年4 巻1 号 p.
A_238-A_245
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
近年,交通事故・渋滞の削減を期待して自動車の自動運転技術の開発が進められている.しかし,自動運転技術を搭載した車両が一般車両と混在した際に,交通の安全性・円滑性にどのような影響が生じるのかという,道路・交通管理上の課題は十分検討されていない.本稿では,自動運転技術の根幹をなす ACC (Adaptive Cruise Control)に着目して,ドライビング・シミュレータを用いた室内走行実験により,ACC を搭載した車両が混在した交通流を作成し,その安全性・円滑性を調査した.その結果,ACC を搭載した車両の混在比率の上昇により,サグや急カーブを有する区間を中心に交通流率が改善する事例が観察された.そして,潜在的な追突事故リスクも ACC 車両の導入によって低減することを確認した.
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尾高 慎二, 吉井 稔雄, 神戸 信人
2018 年4 巻1 号 p.
A_246-A_251
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
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道路ネットワークにおける事故の起こりやすさ(以下,”事故リスク”)を把握し,空間的・時間的に事故リスクの高い経路から低い経路への交通シフトを促す交通事故リスクマネジメントを実施することで事故件数の削減が可能であると考えられる.しかしながら,感知器等による交通流データ取得の問題から,高速道路や幹線道路における事故リスクは算定可能であるものの特定の生活道路における事故リスク算定は困難であった.本研究では,近年普及しつつある ETC2.0 データを拡大し,生活道路の車両走行台キロを推定する手法を考案する.さらに,松山都市圏の実道路ネットワークを対象に,同手法により推定された車両走行台キロに基づき生活道路の事故リスクを分析する.その結果,道路幅員の狭い道路に於いて事故リスクが高くなるとの結果が得られた.
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鈴木 弘司, 加藤 明里, 山口 佳起
2018 年4 巻1 号 p.
A_252-A_257
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
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本研究では,単路部での横断者事故抑制対策として期待される二段階横断施設に着目し,4 か所の横断歩道における実態調査にもとづき,二段階横断施設における横断の安全性,円滑性,心的負担に関する分析を行った.まず,心拍間隔データに着目した分析を行うことで,二段階横断施設での中央帯滞留時の心的負担が,歩道端滞留時の心的負担と比べて大きくないことを示した.次に観測調査データから,簡易な二段階横断施設であっても通常の横断歩道よりも車両の譲り割合が高くなることを示した.さらに,統計分析により,二段階横断施設が nearside 側の車両の譲り挙動率を高めることや,中央帯幅が広いと譲り割合を上昇させること,一方,車両速度の高さが譲り割合の低下要因であることを示した.
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後藤 大輝, 中村 俊之, 宇野 伸宏
2018 年4 巻1 号 p.
A_258-A_264
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
都市内高速道路は大都市の交通を支える大動脈であるが,複雑な道路線形ゆえに今なお多くの事故が発生している.そのため様々な安全対策が講じられているが,その効果は必ずしも永続的なものではなく,逓減する可能性が想定される.そこで本研究では,過去に実施された交通安全対策効果の長期的傾向を把握することを目的とした.実施延長が最も長く代表的な対策である滑り止め対策を対象に,対策箇所の平面線形に着目すると,曲線半径 200m 未満の急カーブ区間では長期経過後に対策効果が逓減することが認められた一方で,その他の区間では対策効果が継続することを示唆する結果となった.これらの知見を踏まえることで,今後効果が低減する前に追加の対策を施すことが可能となり,事故の防止に資することが期待される.
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川渕 翔太郎, 飯田 翔生, 西川 尚志, 藤井 駿, 長尾 智之, 赤羽 弘和
2018 年4 巻1 号 p.
A_265-A_273
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
広島県福山市の国道 2 号上の隣接する 17 信号交差点を対象として、類型別事故リスクと交差点の幾何構造との関係をロバスト回帰した。交通島を配して小規模に設計された交差点において、外れ値となるほど追突事故率が顕著に低いことが分かった。この交差点と、小規模化が計画されている交差点とを対象として、複数のビデオカメラによる観測データから通過車両の走行軌跡を 1/30 秒間隔で推定し、走行挙動の相違と事故リスクとの関係を比較分析した。その結果、小規模化された交差点においては、進入速度が相対的に高くとも、停止線直前における安全指標値が安定していた。また、左折車が流出側横断歩道を通過する際に、最低速度を維持していることなどが明らかとなった。
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佐々木 邦明, 遠山 将也, 澤田 茜, 紅林 哲
2018 年4 巻1 号 p.
A_274-A_279
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
フリー
道路のストック効果には,生産性の向上以外に厚生効果がうたわれており,ミクロな道路整備においても周辺住民の厚生に与える影響が考えられる.そこで本研究では,地域の交通環境を指標化し交通環境の定量的評価を行い,その指標と居住者の外出や運動,健康との間の関係性を,地域の違いと個人間の違いを考慮できるマルチレベルのロジスティック回帰分析を用いて分析する.それによって,地域の生活道路の整備による地域住民の生活や健康状態への影響をはかり,道路のストック効果の一つとなりうるのかについて検討した.その結果,本研究で設定した歩行しやすさや運転しやすさにかかわる指標が,運動や外出に有意な関係を持っていることが明らかになり,居住地域の道路や歩道環境が住民の行動に影響を与えている可能性を示した.
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海野 遥香, 張 宇陽, 橋本 成仁
2018 年4 巻1 号 p.
A_280-A_285
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
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我が国における交通事故の発生件数は減少しているが、近年、減少率は縮小傾向にあり、依然として自動車の交通安全対策が必要である。これらを受け、我が国では様々な交通安全対策の実施や、自動ブレーキシステムの導入が進んでおり、ドライバーの意識に着目した研究も多くみられる。 本研究では、ドライバーの意識のみならず、運転経験や個人の特性、ソーシャル・キャピタルによる安全意識の差異を把握した。運転意識の傾向により回答者の類型化を行った結果、「安全運転傾向」「速度重視型運転傾向」「歩行者・自転車注視型運転傾向」「危険運転傾向」の4つのクラスターに分類された。運転意識傾向の要因分析を行うと、性別、ヒヤリハットの回数、ソーシャル・キャピタルといった要因が大きく影響することが明らかとなった。
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小原 光暁, 樫山 武浩, 関本 義秀, 小俣 博司
2018 年4 巻1 号 p.
A_286-A_293
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
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行政資産の有効活用への動きが高まる中,公用車もまた価値ある資産として注目されている.また,車両有効活用の技術発展が進み,それらを公用車へ活用する事が期待される.しかし,公用車の自治体全数規模のデータ解析事例は存在せず,そもそも公用車利用の現状把握が進んでいない.本研究では,まず “はたらく車プロジェクト” で得たビッグデータから加古川市と藤沢市のリンクカバー率等の解析を行い,現状把握を行う.またその結果を踏まえ車両利用最適化と一元的な配車システムを考案し評価する.以上より,公用車は公共道路を日常点検するプローブカーの役割を担えると分かり,また運用最適化システムにより,例えば加古川市では公用車 117 台で行われた 1 年の業務は,最小 40 台の車両態勢で行えると分かった.最適化による公用車保有削減可能性は高い.
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大谷 眞弘, 多田 昌裕, 岡田 昌也
2018 年4 巻1 号 p.
A_294-A_301
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
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日本では,特に地方部において乗合バスが重要な公共交通インフラとなっており,1 件のバス事故が日常生活に大きな影響を及ぼす.しかしながら乗合バス事故の件数は依然として多い.本研究では,新人バス運転手 16 名と指導運転手 7 名の,バス停留所への停車・発車,右左折など,バス乗務中に起きる様々な交通場面を含む公道上での運転行動を計測し,計測データを比較することで,どのような場面においてバス運転手がリスクの高い運転をする傾向にあるのかを調査した.その結果,バス停留所発車時や狭路直進時における,同時に複数の項目を確認しなければならない状況下において,新人運転手群は車内事故や対人事故を防止するために確認すべき項目の確認回数が指導運転手群と比較して有意に少ないことが明らかとなった.
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渋川 剛史, 山下 伸, 森本 章倫
2018 年4 巻1 号 p.
A_302-A_309
発行日: 2018/02/01
公開日: 2018/02/01
ジャーナル
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地球環境問題が指摘される中で、我が国の二酸化炭素排出量は依然として世界上位に位置しており、交通分野においても環境にやさしい都市への転換が求められている。そのためにも交通環境負荷量の適切な推計が重要であるが、従来からこの推計の基礎データとして用いられてきたパーソントリップ調査データは、財政制約等を要因として十分に把握がなされていない。一方で、携帯電話基地局データを基にした人口流動統計の活用が検討され始めているが、交通手段や移動目的が不明であるなど、活用に向けては課題が山積している。 このような状況を踏まえ、本研究では都市構造分析評価の一指標として用いられる交通エネルギー消費量を人口流動統計から推計する手法を検討した。
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