2018 年 4 巻 1 号 p. A_113-A_119
バス路線が廃止された地区の住民は、自家用車を利用できない場合、移動手段の確保が困難になるということが大きな課題である。この対策の一つとして、地域の住民自らが運営主体となって生活交通を確保する例が存在しており、経費節減、細かい運行調整、地域のコミュニティ活力向上などのメリットが挙げられることから、全国各地での導入・運行継続が行われている。本研究では、この地域住民が主体となって生活交通を運営する地区において、普段利用しない住民による「支える側の意識」に着目し、住民の暮らしにおける満足度、ひいては主観的幸福感とどのように関係しているかを把握することを目的とする。その結果「支える側の意識」は主観的幸福感に関連しており、ポジティブな影響を与えている可能性が示された。