2019 年 5 巻 2 号 p. A_152-A_160
本研究では、過度な自動車利用の抑制に向けた MM 施策の更なる拡大・発展に資するべく、交通行動や、居住する地域の交通環境が健康状態に及ぼす影響についての知見を充実させることを目的として、実データに基づき「交通行動」や公共交通へのアクセシビリティなどの「交通環境」と人々の「健康」との関係性を実証的に分析した。その結果、交通行動と健康の関係性については、既往研究の蓋然性を更に高める結果が得られたと同時に、既往研究では明らかにされていなかった「死亡リスク」との関連性が見いだせた。さらに、既往研究よりもより詳細な単位で区切った「交通環境」と各種疾患の受療率との関連性が示唆されたことから、詳細なエリアにおける交通環境の整備が、健康対策にも影響を及ぼし得る可能性が明らかとなった。