2019 年 5 巻 2 号 p. A_142-A_151
本研究は、自家用自動運転車(AV)、カーシェア AV、ライドシェア AV の 3 種の交通手段に関する普及シナリオを設定し、それらが都市交通にもたらす影響を分析するものである。具体的には、群馬県北部の沼田市と利根郡周辺を対象地域とし、時空間詳細度の高い平成 27・28 年度群馬県パーソントリップ調査のデータを用いて交通手段選択モデルを推定した。推定されたモデル、道路ネットワーク、パーソントリップ調査から作成した人々の 1のスケジュールを用いてエージェントベースシミュレーションにて分析した。その結果、車依存度の高い地方都市においても自動運転車のシェアリングによる総走行距離の増加、車両台数の削減、道路混雑の緩和が確認され、乗合は環境負荷低減に貢献するが過度な乗合は利用者の利便性を損なうことが明らかになった。