2019 年 5 巻 2 号 p. A_223-A_232
本研究の目的は,交通基盤の整備時期が経済活動・人口の空間的集積現象に与える影響を評価できる空間応用一般均衡(SCGE) 分析枠組みを構築することである.そのために,高山ら1) が開発した集積の経済と人口移動を考慮した SCGE モデルを,道路整備の時期が人口分布に与える影響を分析できる枠組みに改良した.そして,1986 年から 2005 年の道路整備を対象に,道路整備のタイミングが大幅に異なる,以下の 2 種類の反実仮想実験を実施した: 1) 道路整備水準(i.e., 地域間の所要時間) を 5 年間隔で変化させる場合,2) 道路整備水準を一度に変化させる場合.そして,それらの結果が大幅に異なり,開発した分析枠組が道路整備時期の影響を表現できることを明らかにした.