2021 年 7 巻 2 号 p. A_298-A_306
本研究は、far と near の信号灯器の設置位置の違いによる交差点内における右折挙動について、ドライビングシミュレータを用いた実験により分析を行った。実験の結果、far と near で信号切り替わり時のクリアランス時間や青信号時のギャップ選択行動から算出された臨界ギャップは大きな違いはなく、アクセルペダル踏込回数についても有意な差はなかったことから、右折時の運転挙動について信号灯器の設置位置は大きな影響とはならないことが示唆された。一方、進入後右折待機時における注視箇所の分析では、far において一部の被験者が対面信号灯器を最も注視していたが、対面信号灯器の無い near では対向車への注視に推移し、適切な安全確認行動を促していることが示唆された。またこれらの注視特性の違いには運転者の消極的な運転特性などが影響していることが示された。