2022 年 8 巻 2 号 p. A_149-A_158
我が国の人対車両の死亡事故では,横断中が最も多く,その中でも乱横断による事故が多いことから,乱横断発生要因の発見と抑制策の検討が求められる.そこで,本研究では事故統計データを用いて,都市内道路の乱横断事故特性を分析し,GIS により立地施設,道路構造等に着目した事故発生要因の分析を行った.その結果,乱横断事故が,若年層,昼間・薄暮時,住居系用途地域で多く発生していることや事故発生箇所付近の沿道施設として,バス停,医療機関,コンビニが挙げられることを示した.さらに,車道幅員と横断歩道設置間隔の関係,歩車道境界部等の構造的な特徴を明らかにし,抑制策を示した.本分析結果を踏まえて実施した若年層を対象としたアンケートより,横断歩道設置位置や信号制御,交通量などが乱横断発生に影響することを明らかにした.