2022 年 8 巻 2 号 p. A_222-A_231
本研究では,定量的空間経済学(Quantitative Spatial Economics : QSE)分野の分析枠組を拡張し,交通基盤整備・技術革新等が人口分布・地域経済に与える影響を評価可能な空間経済分析手法を開発する.そのために,高山・杉山1) の知見を基盤に,自動車に加えて鉄道・航空・高速バスといった公共交通機関の利便性を反映した交通網を適切に表現できる QSE モデルを構築した.そして,本枠組みを実空間に適用可能とするパラメータ設定手法を,必要なデータセットとともに提示した.さらに,日本を対象に地域間輸送アクセス改善に関する反実仮想実験を実施し,改善の対象とする輸送モードの違いによって,人口分布変化の傾向(e.g., 三大都市圏への人口集中,地方都市への人口分散)が質的に異なることを明らかにした.