2022 年 8 巻 2 号 p. A_45-A_53
太平洋に面するほぼすべての市町村では,津波による人的被害の軽減を目的とした津波避難計画が策定されている.しかし,特に人口が集中している市街地では,津波避難ビルに収容できる人数の制約などから,最寄りの避難場所に避難できない可能性がある.地域の実情に合致した避難計画のルールの検討が必要である.
そこで本研究では,避難場所の累積収容人数と浸水域外避難を考慮した避難計画を提案する.津波による避難が必要とされている地方中核都市に適用し,その有効性について避難状況の観点から検討する.その結果,避難者が高台や浸水域外へ避難できる場合は,最寄りの避難場所ではなくそこに避難してもらうことが,その地域の避難状況を改善できることがわかった.