近年,電気自動車(EV)の導入が進む中,その充電需要の集中を回避するため,V2G(Vehicle-to-Grid)等の技術を活用した充放電制御が検討されている.本研究では,電気自動車の普及が深化した将来における都市レベルで EV の充放電制御を実施した際の影響を分析した.具体的には,茨城県つくば市を対象とし,充電による電気料金の総和を最小化する充放電の最適制御による,電力系統の負荷平準化効果や総電気料金・CO2排出量の削減効果を,複数シナリオの比較により分析した.その結果,電力系統の負荷平準化や総電気料金の削減に一定の効果が見られ,総電気料金最小化による充放電制御であってもCO2排出量の削減に寄与することがわかった.一方,高額な炭素税賦課を行っても,総電気料金最小化による充放電制御ではCO2排出量の削減効果は限定的であることが示唆された.