2022 年 8 巻 4 号 p. A_51-A_60
我が国では高齢化に伴い,高齢運転者による死亡事故件数の割合が増加傾向にある.対策として運転免許自主返納制度が挙げられるが,非都市部では代替交通手段の乏しさから自動車を手放せない状況にあり返納率は低いところが多い.本研究では代替手段などの要因以外にも,地域ごとの土地利用状況や道路の利用状況・混雑状況など普段の運転環境の違いにより,高齢運転者の運転頻度や運転技能等が異なり,結果として事故の状況も異なるという想定のもと,高齢運転者の運転行動及び高齢運転者による事故と地域特性との関係に関する分析を行った.その結果,高齢運転者の不安全な運転行動についても地域ごとに有意な差が見られた.また土地利用や運転頻度などと事故発生に有意な関係が確認され,地域ごとの高齢運転者の事故対策への示唆が得られた.