2023 年 9 巻 2 号 p. A_19-A_27
本研究では、災害復旧期の交通需要予測に向けたリアルタイムのパラメータ推定手法を開発する。最適化問題において計算時間を大幅に短縮可能なサロゲート型最適化をベースに、アクティビティシミュレータのパラメータ推定を行うアルゴリズムの開発と実装を行う。提案アルゴリズムでは、転移学習による機械学習モデルの更新、損失関数微分値を利用した勾配降下法、学習データ範囲制限、の三つの拡張を導入する。提案アルゴリズムの有効性は、簡易なシミュレータにより示す。また、2016年熊本地震の状況を想定した地方都市圏を対象としたアクティビティシミュレータに、提案アルゴリズムを適用した。既存アルゴリズムに比べ、パラメータ推定に要する時間を大幅に短縮し、リアルタイム推定で得たパラメータは、シミュレータ精度の向上に貢献した。