2023 年 9 巻 2 号 p. A_54-A_60
近年、高齢ドライバーの死亡事故の増加が問題視されている。その対策として免許返納施策があるが、高齢者の生活に急激な変化をもたらす恐れがある。そこで、本研究は、免許返納の代わりに自身の運転技能低下を考慮し安全に運転する「補償運転」に着目し、特に死亡事故になりやすい夜間と雨の日について補償運転の実態と促進策に関するアンケート調査を行った。促進策としては、夜間と雨の日の運転が危険だという情報を提供することと、自身の運転を振り返って運転技能の低下を認識してもらうことの2つを挙げた。その結果、運転頻度や運転の自信と補償運転実行者率の関係を把握するとともに、情報提供、運転の振返りの両方が補償運転実行意向の変化に影響し、補償運転実行意向のある人の割合を統計的に有意に増加させていることを明らかにした。