2023 年 9 巻 4 号 p. A_128-A_137
近年,観光客数増加に伴うオーバーツーリズムが世界的に問題視されている。その対策の一つとして混雑課金の導入が検討されている地域もあるが,既存の導入事例の多くは通勤交通が卓越した都市中心部を対象としており,過去の事例を参考に観光地での施策導入効果を予測することは難しい。本研究では,観光周遊行動を対象としたアクティビティ型交通行動モデルを混合整数計画問題の枠組みを拡張して構築した。その上で,混雑による旅行時間増加を考慮した観光客の移動・活動スケジュールの動的利用者均衡配分を求め,観光周遊量の変化を予測した。鎌倉市を想定した分析の結果,課金額の増加に伴いネットワークの混雑は解消されるものの,観光客の効用は低下することを示した。