名古屋市では「名古屋市自転車利用環境推進計画」に基づき,歩道内の自転車通行空間整備が進められてきたが,近年の歩道上の歩行者と自転車の接触事故増加等の背景を受けて,現在,車道混在型自転車通行空間整備である矢羽根設置が推進されている.本研究では,2024 年 9 月に整備された名古屋市熱田区の堀川東線を対象とし,矢羽根設置前後における自転車の通行位置,車道利用率の変化や影響要因,自転車と自動車の接触危険性,単路部を走行する自動車の平均速度を分析した.その結果,矢羽根設置により自転車の車道利用率が上昇し,都市型側溝や自転車の進行方向が車道利用率に影響を与えることが分かった.また,自転車と自動車の交錯箇所は車道部側にシフトすることや単路部を走行する自動車の平均速度は矢羽根設置後に低下傾向にあることが分かった.