抄録
新型コロナウイルス感染症の拡大により,観光業は大きな打撃を受けたが,ホテル等の宿泊施設において上質なサービス提供を行う観光ホスピタリティ人材の確保や育成は,引き続き重要な課題となっている.ホテルスタッフにはホスピタリティを具現化するコミュニケーション能力が必要であると同時に,自身の母語だけでなく外国語も駆使したサービスを提供する力が求められる.本プロジェクトの最終目標は,ホテル業務で求められるこのような接客コミュニケーション能力とは具体的に何ができる能力であるかを可視化して提示することである.その目標達成のための部分的な取り組みとして,本稿では,ホテルスタッフが英語及び日本語で接客する場合に使用される言語表現について調査し,非母語話者にとっての言語の難易度をCEFRの基準を参照して考察した.その結果,英語,日本語とも多くの場面でCEFRのA2+という基本的な言語運用能力レベルで対応が可能であること,また職種によって必要なレベルが異なることなどが明らかになった.