脳卒中
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症例報告
頸部血管エコー検査でoscillating thrombusを経時的に観察し得た心原性脳塞栓症の1例
中野 正紹緒方 利安矢坂 正弘岡田 靖
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2007 年 29 巻 3 号 p. 474-478

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抄録

心原性脳塞栓症発症後の頸部血管エコーにてoscillating thrombusを検出した1例 (86歳女性) を経験した. 高血圧と非弁膜性心房細動に伴う心原性脳梗塞の既往があり, 抗凝固療法を受けていた. 意識障害と左片麻痺にて発症, 頭部MRIにて新鮮脳梗塞を確認し, 心原性脳塞栓症と診断した. 同日に施行した頸部血管エコー上右内頸動脈 (ICA) 起始部に可動性血栓 (oscillating thrombus) を認め, 右総頸動脈の拡張末期血流速度 (end-diastolic flow velocity : EDV) は0cm/sであった. 心原性脳塞栓症の再発予防に, ヘパリン持続点滴 (1万単位/日) を開始した. 第3病日には頸部血管エコー上可動性血栓は消失したが, EDVの左右比は4.53と上昇しており右ICA遠位部閉塞と考えられた. 第13病日にはEDVの左右差は消失しており, 右ICA再開通が示唆され, 同所見を頭部MRAで確認した. 本症例では内頸動脈遠位部閉塞によって生じたoscillating thrombusが抗凝固療法中に消失し, 再開通していく様を頸部血管エコーにて捉える事が出来た. 頸部血管エコーは内頸動脈閉塞とそれに続く再開通現象を捉える良い指標であると考えられた.

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© 2007 日本脳卒中学会
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