2008 年 30 巻 5 号 p. 643-650
超急性期の経静脈的t-PA療法を中心とした脳卒中急性期診療を迅速かつ効率的に可能にするため,脳卒中プレホスピタルスケール(TOPSPIN:TOYOTA prehospital stroke scale for t-PA intravenous therapy-経静脈的t-PA療法のためのトヨタ脳卒中プレホスピタルスケール-)を豊田市救急隊との前方連携に導入した.TOPSPINは1.意識 2.心房細動 3.言語障害 4.上肢および5.下肢の片麻痺を評価する.
2006年12月12日から2007年11月6日までに155例がTOPSPINを用いて搬送され,脳卒中適中率は72%,脳梗塞56例(36%),TIA3例(2%),脳出血46例(30%)であった.うち14例(9%)でt-PA療法が施行された.
また,当院に救急搬送された脳卒中患者218例のうち約半数がTOPSPINでトリアージされていた.約半数の,TOPSPINでトリアージされずに救急搬送された脳卒中症例は,(1)他の診療所や病院からの転送,(2)半日以上経過してからの救急隊要請による搬送,(3)TOPSPINを導入していない豊田市以外の救急隊からの搬送,(4)めまい・ふらつき・嘔吐や半盲といった症候を主とした症例であった.
TOPSPINは, t-PA療法を念頭にした脳卒中患者のトリアージに有効であると考えられた.