脳卒中
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原著
脳卒中地域医療の現状を把握するための全国アンケート調査-維持期入院入所施設の現状-
古賀 政利上原 敏志長束 一行安井 信之長谷川 泰弘成冨 博章岡田 靖峰松 一夫
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2008 年 30 巻 5 号 p. 710-722

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抄録

脳卒中医療・介護施設の緊密な連携と情報共有の重要性が強調されている.維持期入院入所771施設に対して,施設の概要,脳卒中地域連携,介護保険,適当な評価尺度に関するアンケート調査を行った.有効回答24%で,うち82%が脳卒中診療や介護に従事していた.平均106床(脳卒中患者37床)であった.22%で待機期間が半年以上であった.脳卒中患者が在宅で生活できない主な理由は「独居」73%,「高齢者のみの世帯」76%,「その他の介護力不足」77%で,自宅に戻っていたのは平均10%であった.「十分なリハビリ機能を維持」は15%で,脳卒中患者にリハビリを「十分に提供できている」のは9%であった.多くが地域医療圏は「市町村」(38%),その中心的役割は急性期病院(42%)と回答した.他の医療介護施設事業所や自治体との連携が良好との回答は多くなかった.医療(介護)情報を「既に共有」,「共有予定」,「共有予定なし」は各々8(8)%,17(19)%,64(61)%であった.医療保険と介護保険によるシステムの問題点をあげる割合が高かった.第三者が維持期入院入所施設を評価するのに適当な評価尺度は「リハビリ機能」(47%)が最多であった.本調査により,維持期入院入所施設の現状が明らかとなった.

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© 2008 日本脳卒中学会
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