抄録
脳内出血患者の深部静脈血栓(DVT)の発症予防における,弾性ストッキングの効果について検討した.対象は当院に入院した急性期脳出血45例.発症約2週後に下肢静脈エコーでDVTの有無を調べた.着用群は15例,非着用群は30例であり,2週間後にDVTは13例(28.9%)で検出された.着用群と非着用群の間で2週間後のDVTの発症頻度に有意な違いは見られなかった.これは意識障害,重度の麻痺,NIHSSスコア≥13点,血腫サイズが大きい症例,及び手術を施行しなかった症例についても同様であった.急性期リハ実施下の脳内出血患者における弾性ストッキングの着用によるDVT予防効果は確認できなかった.