2009 年 31 巻 2 号 p. 86-95
【目的】発症3時間以内の脳梗塞超急性期症例でのt-PA静注療法適応判定におけるCT perfusion(CT-P)の有用性について検討した.
【対象】2007年4月から2008年3月までに発症3時間以内に来院した脳梗塞患者40例(男28例,女12例.平均年齢71,発症∼来院時間平均93分)のうち,頭部CT,頭部MRI(拡散強調画像DWI・MRA)およびCT-Pすべてを施行した14例.臨床病型は心原性脳塞栓症(CE)7例,アテローム血栓性脳梗塞(AT)6例,ラクナ梗塞(LC)1例であった.
【結果】CT-Pを施行した14例のうち,来院時NIHSS11点以下の8症例中6例は灌流異常を指摘できなかった.症例の内訳はLC 1例,CE 3例,AT 2例であった.また2例(CE:M2閉塞,AT:M1狭窄)は灌流異常領域を認めたがDWIの高信号域との差を認めなかった.NIHSS15点以上の症例はすべてdiffusion-CT perfusion mismatch(DPM)を認めた.またDPMを認めた6症例中5例にMRA上主幹動脈病変を認めた.t-PAは14例中10例に施行した.
【結語】発症3時間以内の超急性期脳梗塞において,軽症例および脳主幹動脈病変のない症例ではCT-Pの必要性は低く,中等症および重症例ではDPMを評価するためCT-Pは有用であると考えられた.