脳卒中
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症例報告
脳梗塞の発症原因の診断に苦慮した前大脳動脈解離の1例
荒木 俊彦山田 透子山口 直人石川 晴美三木 健司石原 正樹古市 真
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2009 年 31 巻 3 号 p. 179-184

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抄録

症例は47歳男性.頭痛はなく,突然の構語障害,右上下肢の脱力にて発症,頭部CTにて左前頭葉に低吸収域を認め脳梗塞と診断した.既往に高血圧,高脂血症を認めたが頚動脈エコーや頭部MRAにて動脈硬化性変化を認めず,心原性脳塞栓も考えホルター心電図,心エコーを行ったが異常なく,凝固異常,膠原病,抗リン脂質抗体症候群,サルコイドーシス,プロテインC欠損症,プロテインS欠損症,高ホモシスチン血症など脳梗塞の原因となる疾患も否定された.動脈解離を疑い,脳血管造影を行い左前大脳動脈のA2 segmentにpearl&string signを認め脳動脈解離と診断した.若年発症の脳梗塞の原因として脳動脈解離も積極的に診断することが大切であると考えられた.

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© 2009 日本脳卒中学会
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