脳卒中
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原著
放線冠梗塞による純粋運動麻痺の臨床・放射線学的検討
長岡 哲郎川邉 清一伊藤 裕乃池田 憲
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2009 年 31 巻 4 号 p. 227-232

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抄録
目的:放線冠梗塞で純粋運動麻痺を呈した患者の臨床・放射線学的所見を検討した.方法:脳梗塞で入院した連続症例628名から放線冠梗塞の患者を選出し,A群:構音障害,B群:上肢優位麻痺,C群:下肢優位麻痺の3群に分別した.臨床所見は脳血管危険因子,梗塞の臨床病型,30日後のmRSとFIMを検討した.放射線学的に梗塞巣の最大径と病巣の局在部位をT2強調像で評価した.結果:放線冠梗塞は59名(男性42名,女性17名),A群23名(男性19名,女性4名),B群19名(男性10名,女性9名),C群17名(男性13名,女性4名)であった.患者の平均年齢(SD)は68.9(9.5)歳,男性66.4(9.6)歳,女性75.3(5.3)歳であった.脳血管危険因子は高血圧43名(72.9%),喫煙22名(37.3%),脂質異常症16名(27.1%),糖尿病15名(25.4%),心房細動11名(18.6%)に認めた.30日後のmRSは全体的に良好であったが,B群は日常生活で不自由を訴える患者(12/19例)が多かった.脳梗塞の臨床病型はラクナ梗塞48名と心原性脳塞栓症11名であった.放線冠の運動線維の体性局在はA群,B群,C群の順に前方から後方に分布していた(P<0.01).梗塞巣の左右別検討では右側24名,左側35名で,最大径は右側11.6(3.2),左側9.5(1.9)で左側梗塞の方が多く,病巣も小さかった.結論:放線冠梗塞の頻度は脳梗塞患者の9.4%で,男女比は1.3であった.FIMの評価で上肢主体の麻痺患者に部分介助が必要な患者が多かった.放射線学的に左右比は1.5で左側梗塞が多く,左側梗塞の方が病巣の小さい患者が多かった.
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© 2009 日本脳卒中学会
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