脳卒中
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31 巻 , 4 号
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原著
  • 佐藤 岳史, 齊木 雅章, 山田 茂樹, 八木 美雪, 美馬 達哉
    2009 年 31 巻 4 号 p. 211-216
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    経皮的電気神経刺激(TENS)を脳底動脈閉塞症による閉じ込め症候群3例に施行し,早期の四肢運動機能改善を経験したため報告する.TENSは,100 Hzの頻度で8∼10 mAの刺激を両側手関節部正中神経に施行した.症例1:脳底動脈閉塞により小脳・脳幹梗塞をきたし,閉じ込め症候群となった.理学療法開始後1週間でも四肢運動機能の改善なくTENSを併用した.開始日に両上肢の自発運動が出現した.症例2:脳底動脈閉塞により閉じ込め症候群となり,理学療法開始と同時にTENSを併用した.3日後には上肢の自発運動が可能となり,従命にも応ずるようになった.症例3:脳底動脈閉塞により脳幹梗塞を来たし閉じ込め症候群となった.理学療法開始後3日でも四肢の運動を認めず,TENSを併用したところ,その日に左上肢の自発運動が出現した.TENSは理学療法と併用することで,閉じ込め症候群における運動機能の改善を促す可能性がある.
  • 望月 俊明, 石松 伸一
    2009 年 31 巻 4 号 p. 217-221
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】本邦の若年性脳卒中は虚血を原因とするものが最も多い.本研究では若年性脳梗塞のデータを示し,診療上の問題点を検討する.【対象と方法】対象は3年間に当施設に入院した50歳以下の脳梗塞26例とした.これらを病型分類し,施行検査,入院期間,転帰を示す.【結果】50歳以下の脳梗塞は全体の9.8%で,病型分類では,1.lacunar 7例(27%),2.atherothrombotic 5例(19%),3.cardioembolic 3例(12%),4.other 6例(23%),5.undetermined 5例(19%)だった.otherの内訳は,脳動脈解離が3例,卵円孔開存,大動脈解離,腫瘍に伴う塞栓がそれぞれ1例ずつだった.入院期間は平均15日,転帰は,ADL自立退院例が14例(54%),死亡例は1例だった.【結語】45歳以下発症の脳梗塞は脳血管異常,特に脳動脈解離に起因する頻度が高い.若年性脳梗塞では,脳血管病変の精査が必要であり,早期血栓溶解療法を行う際は十分な注意が必要である,
  • 島田 潤一郎, 松田 信二, 町田 利生, 永野 修, 本間 甲一, 沖山 幸一, 小野 純一
    2009 年 31 巻 4 号 p. 222-226
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    超急性期脳梗塞に対する血栓溶解療法において,初診時軽症または急速な症状改善のみを理由に適応除外された症例の予後を検討した.【方法】2002年4月から2007年9月に発症2時間以内に来院した脳梗塞症例のうち,初診時軽症あるいは急速な症状改善のみを理由に経動脈的又は経静脈的血栓溶解療法から適応除外された70例を対象とした.退院時予後不良(modified Rankin scale ≥3)の割合および予後不良に関与する因子を統計学的に検討した.【結果】対象は男48,女22,平均年齢70.3才.初診時軽症による適応除外45例中3例(6.7%),急速症状改善による適応除外25例中8例(32%)が予後不良であり,症状改善を理由とした群で高率であった(Fisher直接法,p=0.0128).【結論】急速な症状改善のみを理由とした適応除外例では退院時予後不良の割合が高く,除外決定には慎重を期すべきである.
  • 長岡 哲郎, 川邉 清一, 伊藤 裕乃, 池田 憲
    2009 年 31 巻 4 号 p. 227-232
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    目的:放線冠梗塞で純粋運動麻痺を呈した患者の臨床・放射線学的所見を検討した.方法:脳梗塞で入院した連続症例628名から放線冠梗塞の患者を選出し,A群:構音障害,B群:上肢優位麻痺,C群:下肢優位麻痺の3群に分別した.臨床所見は脳血管危険因子,梗塞の臨床病型,30日後のmRSとFIMを検討した.放射線学的に梗塞巣の最大径と病巣の局在部位をT2強調像で評価した.結果:放線冠梗塞は59名(男性42名,女性17名),A群23名(男性19名,女性4名),B群19名(男性10名,女性9名),C群17名(男性13名,女性4名)であった.患者の平均年齢(SD)は68.9(9.5)歳,男性66.4(9.6)歳,女性75.3(5.3)歳であった.脳血管危険因子は高血圧43名(72.9%),喫煙22名(37.3%),脂質異常症16名(27.1%),糖尿病15名(25.4%),心房細動11名(18.6%)に認めた.30日後のmRSは全体的に良好であったが,B群は日常生活で不自由を訴える患者(12/19例)が多かった.脳梗塞の臨床病型はラクナ梗塞48名と心原性脳塞栓症11名であった.放線冠の運動線維の体性局在はA群,B群,C群の順に前方から後方に分布していた(P<0.01).梗塞巣の左右別検討では右側24名,左側35名で,最大径は右側11.6(3.2),左側9.5(1.9)で左側梗塞の方が多く,病巣も小さかった.結論:放線冠梗塞の頻度は脳梗塞患者の9.4%で,男女比は1.3であった.FIMの評価で上肢主体の麻痺患者に部分介助が必要な患者が多かった.放射線学的に左右比は1.5で左側梗塞が多く,左側梗塞の方が病巣の小さい患者が多かった.
症例報告
  • 蜂須賀 明子, 緒方 利安, 矢坂 正弘, 桃崎 征也, 岡田 靖
    2009 年 31 巻 4 号 p. 233-237
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    症例は80歳の男性で,意識障害にて当院に救急搬送となった.来院時に心房細動あり,突然の意識障害,右動眼神経麻痺,中脳右側と小脳左側に新鮮梗塞巣を認め脳底動脈閉塞症と診断した.入院後抗凝固療法と抗不整脈薬を開始し,以後洞調律で経過した.第31病日,突然の腹痛に続いてショック状態となり症状出現から8時間で死亡した.剖検の結果,上腸間膜動脈の閉塞と腸管壊死を認め,心内血栓はなく大動脈弓部に壁在血栓を伴う潰瘍があり,同部位を塞栓源とする急性上腸間膜動脈閉塞症と診断した.脳塞栓症急性期に腹痛に伴うショック状態を呈した場合,急性上腸間膜動脈閉塞症を疑うと共に塞栓源として大動脈複合粥腫病変を考慮する必要がある.
  • 伊藤 康幸, 光藤 尚, 山本 文夫, 橋本 洋一郎, 園田 豪之介, 平野 照之, 内野 誠
    2009 年 31 巻 4 号 p. 238-244
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    症例は42歳女性.子宮頸癌(T2bN1MA,stage IVb)治療中に右上下肢脱力をきたした.第1病日の拡散強調MRIで両側大脳半球に新鮮梗塞が散在していたが経食道心エコーを含め明らかな塞栓源はなく,クロピドグレル服用下に第11病日自宅退院した.しかし第12病日右上下肢脱力が増悪し第13病日再入院した.再入院時の拡散強調MRIで新規梗塞巣がみられ,第14病日の経胸壁心エコーで僧帽弁後尖に疣贅を認め(第35病日には消失),非細菌性血栓性心内膜炎と診断した.子宮癌では腺癌主体の体癌に伴う非細菌性血栓性心内膜炎の報告は多いが,扁平上皮癌主体の頸癌に伴うものは極めてまれである.非細菌性血栓性心内膜炎の生前診断は報告が少なく,理由として疣贅が経食道心エコーでも証明困難な微小径であることが挙げられるが,原因不明の脳塞栓症では繰り返し経胸壁・経食道心エコーを行い疣贅の検出に努めるべきである.
  • 田島 康敬, 須藤 和昌, 松本 昭久
    2009 年 31 巻 4 号 p. 245-250
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    脳梗塞を繰り返したHIV感染を伴う神経梅毒の32歳男性例を報告する.症例は右上肢の脱力で発症し,この治療中に発熱,頭痛が加わり各種検査所見からHIV感染をともなう髄膜血管型神経梅毒と診断した.MRAでは脳底動脈,内頸動脈系の描出が不良であり左中大脳動脈の狭窄が顕著であった.ペニシリン投与により臨床症状,髄液,画像を含む検査所見の改善が得られた.しかしながら1カ月後に,意識障害を伴う重度の左片麻痺で再発した.右中大脳動脈は内頚動脈からの分岐部で描出されず,新鮮な梗塞巣が両側性に多発していた.治療により臨床症状,髄液,画像を含む検査所見の改善が得られたが重度の左麻痺が残存した.
    本例は脳梗塞で発症し,その後梅毒とHIV感染が明らかになった症例である.近年の世界的なHIV感染の蔓延に伴い,これに伴う梅毒患者数の増加が問題となっており,症例の臨床症状や治療法の検討は大きな課題である.
短報
  • 清水 曉, 高橋 素彦, 廣田 誠, 萩原 宏之, 中山 賢司, 山本 勇夫, 藤井 清孝
    2009 年 31 巻 4 号 p. 251-255
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    目的:顎関節脱臼は神経疾患に起因することがあるが,その認知度は低い.今回,脳卒中における顎関節脱臼の臨床像を明らかにし,患者管理に活用するため自験例を検討した.
    方法:当センター歯科外来病歴データベースより該当症例を抽出・検討した.
    結果:10例の成人脳卒中患者(片麻痺6例,四肢麻痺3例,運動麻痺なし1例)に顎関節脱臼がみられた.脱臼は片側性2例,両側性8例であった.脳卒中発症から12日∼9カ月(平均94.1日)で発症しており,9例は用手整復・外固定で寛解したが,1例は整復手術を要した.
    結論:下顎骨を顎関節に引き上げる閉口筋は,咬筋・側頭筋・内側翼突筋であり,これらは核上部では両側支配の三叉神経運動枝に支配される.しかし片側脳卒中であっても閉口筋力が低下することはあり,閉口筋の機能には両側神経支配が揃うことが不可欠である.稀ながら顎関節脱臼が,脳卒中後の閉口筋力低下によることがあり,早期の発見・整復のためこれを銘記する必要がある.
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