脳卒中
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原著
脳梗塞超急性期rt-PA静注療法の患者選択における頭部CTとMRIの相違について
—予後および頭蓋内出血の面からの比較検討—
出口 一郎武田 英孝古屋 大典服部 公彦傳法 倫久名古屋 春満加藤 裕司福岡 卓也丸山 元棚橋 紀夫
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2010 年 32 巻 1 号 p. 34-40

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抄録

【目的】脳梗塞急性期rt-PA静注療法の適応選択における頭部CTとMRIの有用性の違いについて検討した.【対象】2005年10月から2009年3月までに入院した脳梗塞患者1,280例のうちrt-PA静注療法を施行した45例(男性 33例,女性 12例,年齢 69.2±11.6歳)を対象とした.うち16例(CT基準群;男性 11例,女性 5例,年齢 67.4±15.4歳)は頭部CTのみ施行し適応判定を行いrt-PA静注療法を施行.また29例(MRI基準群;男性 22例,女性 7例,年齢 70.1±9.0歳)は頭部CTと同時にMRIを施行し適応判定を行いrt-PA静注療法を施行した.【結果】rt-PA静注療法直前のNIHSS score(中央値)はCT基準群19,MRI基準群11で,対象期間後半のMRI基準群では重症度は低かった.3カ月後のmodified Rankin Scale(mRS)はCT基準群(0–1;25%,2–3;25%,4–5;38%,6;12%),と比しMRI基準群(0–1;31%,2–3;38%,4–5;24%,6;12%)で良好な転帰が得られた.症候性頭蓋内出血の頻度はCT基準群18.8%,MRI基準群6.9% で,対象期間後半のMRI基準群で減少した.ただし症例が少なく転機,頭蓋内出血とも両群間に統計学的に有意差は認めなかった.【結語】MRI基準でのrt-PA静注療法適応選択は対象患者が軽症化し,3カ月後の予後も良好な結果が得られ,症候性頭蓋内出血の発現頻度も減少した.

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© 2010 日本脳卒中学会
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