脳卒中
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原著
脳卒中患者での高脂血症による臨床指標への影響
大櫛 陽一春木 康男柴田 健雄小林 祥泰脳卒中急性期患者データベース構築研究 (JSSRS)グループ
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2010 年 32 巻 3 号 p. 242-253

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抄録

日本人における高脂血症が脳卒中に与える影響について,さまざまな報告がある.今回,我々は脳卒中急性期患者データベース構築研究(JSSRS)に登録された症例47,782例から,薬物治療の影響を排除するために,高脂血症,高血圧,糖尿病での薬物治療をしていない脳梗塞,脳内出血,くも膜下出血の16,850症例を抽出して,高脂血症が臨床指標に与える影響について解析した.年齢は67.4±14.3歳,男性が61%であった.臨床指標としては,mRS,JSS,NIHSSおよび退院時死亡率を用いた.脳梗塞,脳内出血,くも膜下出血のいずれの群でも,高脂血症とされる人の方が臨床指標は良かった.日本の脂質異常症診断基準が低すぎることや,日本人では特に高齢者における低栄養が脳卒中の発症や予後に影響しているものと思われる.

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© 2010 日本脳卒中学会
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