脳卒中
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原著
中大脳動脈アテローム血栓性梗塞における線条体内包梗塞のメカニズム
田邑 愛子山本 康正尾原 知行大原 亮濱中 正嗣中川 正法
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2010 年 32 巻 4 号 p. 325-333

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抄録
【背景および目的】線条体内包梗塞(striatocapsular infarction:SCI)は,多くは塞栓機序によるが,中大脳動脈アテローム血栓性梗塞(MCA-ATBI)としてのSCIの系統的な報告はみられない.今回,MCA-ATBIとSCIについて,その臨床的特徴,梗塞メカニズムに対する考察を行った.【対象と方法】連続症例よりMCAアテローム血栓性病変が閉塞または50%以上の狭窄を示す56症例を選出し,梗塞病型によりSCI単独例のpure SCI:10例,SCIに他の梗塞を伴うSCI plus:5例,SCI以外の梗塞non-SCI:41例に分類した.【結果】SCI群では,12例がMCA閉塞,3症例がMCA狭窄を示した.SCI群ではすべてMCA水平部病変であったが,non-SCI群ではMCA水平部病変は62.5%であった.SCI群ではnon-SCI群に比して,急性期進行が多い傾向にあった(p = 0.092,χ二乗検定).退院時mRSを基準に解析すると,SCI群はnon-SCI群に比較して重症の傾向にあった(p = 0.0504,Mann-WhitneyのU検定).【結論】MCAアテローム血栓性病変に伴うSCIの機序として,MCA水平部の閉塞・高度狭窄,さらに,MCA水平部アテロームプラークによる複数のレンズ核線条体動脈の閉塞が考えられた.急性期MCA-ATBIにおいてSCIを示す症例では機能予後不良のものが多く,早期より積極的な治療介入が必要である.
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© 2010 日本脳卒中学会
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