抄録
わが国の脳卒中専門施設におけるTIAの診療実態を把握するために,日本脳卒中学会認定研修教育病院683施設を対象としたアンケート調査を実施した.日常診療で用いているTIAの定義は,「症状持続時間が24時間以内で,画像上の梗塞巣を問わない」との回答が48%,「症状持続時間が24時間以内で,画像上,梗塞を認めない」が42%であった.発症24時間以内のTIA患者が来院した場合の入院の適応方針については,「原則として全例,当日に入院させる」が64.4%と最も多く,「ABCD2スコアなどの脳卒中発症予測スコアを用いて判断する」と答えたのは7.5%のみであった.今回のアンケート調査により,国内専門施設のTIA診療はおおむね妥当であると思われたが,持続時間を1時間前後と定義した新分類や脳卒中発症予測スコアはほとんど普及していないことが明らかとなった.