脳卒中
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原著
頸部放射線治療後の頸動脈病変: 頸部血管超音波検査による11症例の検討
田口 芳治高嶋 修太郎小林 健二伏木 宏彰小川 心一田中 耕太郎
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2011 年 33 巻 1 号 p. 67-73

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抄録
【目的】頸部放射線治療後に頸動脈狭窄病変を生じるが,近年,癌の予後が改善し,脳梗塞の発症が問題となっている.そこで頸部血管超音波検査による頸部放射線治療後の頸動脈病変について検討した.【方法】咽頭癌または喉頭癌と診断され頸部放射線治療を受けた11例を対象とし,頸部血管超音波検査で,血管径,最大内中膜複合体厚(maxIMT),狭窄率,プラークの部位と性状を評価した.【結果】全例で両側頸動脈にIMTの増加があり,maxIMTは放射線治療後の期間と有意な正の相関が認められた.4例(36%)に50%以上の狭窄病変を認め,いずれも低輝度プラークで,2例は潰瘍を伴い,1例は可動性プラークであった.脳梗塞を発症した2例は放射線治療後11.6年と13年目に発症し,高度狭窄と不安定プラークを認めた.【結論】本邦でも頸部放射線治療後は経過とともに広範囲に頸動脈狭窄病変が進展する可能性があり,放射線治療後は定期的な頸動脈病変の評価が必要である.
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© 2011 日本脳卒中学会
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