脳卒中
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失語症症例の回復期における認知機能の改善に関する検討—認知・行動チェックリストの試験的作成と運用—
森田 秋子酒向 正春大村 優慈金井 香
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2011 年 33 巻 3 号 p. 341-350

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抄録

脳卒中症例の認知機能を行動から評価することを目的に,認知・行動チェックリストを試験的に作成した.チェックリストは,意識,感情,注意,記憶,判断,病識の6領域24項目について,0から3点で評価した.対象は回復期の脳卒中症例のうち,右片麻痺を認めた失語症症例59名とした.本チェックリストは,入院時退院時ともレーブン色彩マトリックス検査と有意な相関を認めた.因子分析の結果,入院時第1因子は判断病識,第2因子は感情,第3因子は意識であった.退院時第1因子は注意,第2因子は判断記憶であった.因子による重症度は,入院時退院時とも,判断記憶,感情,意識の順で高い結果を示した.失語症症例において,本チェックリストは一定の妥当性が認められた.失語症の発症早期からの認知機能の回復は,意識,感情,判断病識の順に回復する可能性が推察された.

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© 2011 日本脳卒中学会
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