脳卒中
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症例報告
もやもや病に合併し血行再建術後に消失した末梢性破裂前脈絡叢動脈瘤の1例
豊田 啓介福田 修志石坂 俊輔竹下 朝規林 健太郎陶山 一彦永田 泉
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2012 年 34 巻 3 号 p. 187-192

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抄録

症例は29歳女性.突然の頭痛と意識障害で発症し近医に救急搬送,CTで脳室内出血を認め当院へ紹介入院となった.CTAおよび脳血管造影でもやもや病と診断し,出血源は右前脈絡叢動脈の分枝末梢に発生した動脈瘤と判断,脳室内出血に対しては保存的治療を行った.発症1カ月後に浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術+encephalomyosynangiosis (EMS)による右血行再建術を施行し,経過良好にて退院.術3カ月後の脳血管造影では良好なバイパス血流が認められ,動脈瘤は消失していた.もやもや病の成人例では約半数が頭蓋内出血を来し,その約70%は脳室内出血を合併するとされるが,側副血行路として拡張した脈絡叢動脈末梢部の瘤が出血源となる場合もありうる.もやもや病に合併した破裂脈絡叢動脈瘤の治療方針は確立されていないが,過去の報告と同様に出血亜急性期の血行再建術は適切な選択肢となると考えられる.

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© 2012 日本脳卒中学会
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