脳卒中
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短報
Cheiro-oral syndromeを呈した皮質性梗塞の1例
下畑 光輝成瀬 聡渡部 裕美子田中 一
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2012 年 34 巻 3 号 p. 193-196

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抄録

大脳皮質の体性感覚野に限局した小梗塞によりcheiro-oral syndrome (COS)を呈した1例を報告する.症例は46歳女性.右中心前回の小梗塞による左口角周囲の顔面麻痺の既往あり.今回は左鼻翼部外縁から口角,左手指のしびれで発症した.頭部MRIで右中心溝底部から中心後回皮質に小梗塞を認め,SEP右正中神経刺激でN20は正常であることから,Brodmann 3a (中心溝底部)を主病巣とする皮質性COSと診断した.抗血小板剤により症状は軽快した.前回および今回の梗塞巣の分布から,中大脳動脈皮質枝の中心溝動脈に限局したアテローマが存在し,血栓症またはA to A塞栓症を生じたものと推察した.最近の多数例の検討では,COSは延髄から体性感覚野に至る感覚伝道路を障害する様々な病因により生じ,症状増悪例も報告されており,症例ごとに慎重に原因検索を行い,病態に応じた治療を行う必要がある.

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© 2012 日本脳卒中学会
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