脳卒中
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症例報告
頸動脈超音波検査で血管病変の経時変化を確認した,本態性血小板増多症による脳梗塞の1例
呉屋 よしの崎間 洋邦伊佐 勝憲仲地 耕城間 加奈子石原 聡渡嘉敷 崇大城 克彦仲地 佐和子大屋 祐輔
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2012 年 34 巻 4 号 p. 249-254

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抄録

抗血栓療法下で,脳血栓症を発症し,主幹動脈病変の経時変化観察に頸動脈超音波が有用であった本態性血小板増多症(essential thrombocythemia; ET)の85歳,女性を報告する.既往に気管支喘息があり,洞不全症候群でペースメーカーの植え込み術を受けた.また冠動脈バイパス術後および発作性心房細動のため,抗血小板および抗凝固療法を数年来受けていた.意識障害,構音障害,右不全片麻痺を呈する橋左正中部脳梗塞を発症した.頸動脈超音波で椎骨動脈血流速度は遠位部高度狭窄または閉塞所見で,さらに右内頸動脈は低輝度が混在した充満性血栓で閉塞していた.本例は血小板増多(129万/μl)を認め,ETと診断された.骨髄抑制薬の追加内服開始後,椎骨動脈血流速度は改善した.以上から本例の脳梗塞はETによる脳主幹動脈血栓症が原因と考えた.経時的な超音波検査がETによる脳血栓症の病態把握に有用と考えられた.

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© 2012 日本脳卒中学会
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