2014 年 36 巻 1 号 p. 16-22
要旨:【背景と目的】熊本県の阿蘇医療圏では急性期血行再建療法が実施できず,阿蘇市外へ二次搬送しているが,搬送に1 時間を要し,2010 年に搬送した11 名中rt-PA 実施は1 名のみであった.一次搬送された病院でrt-PA 投与を行うべく,脳卒中基幹病院と一次救急モデル病院間でスマートフォンを用いた遠隔医療態勢の構築を図った.【方法】モデル病院担当医はスマートフォンアプリ“RDICOM”を使用し,患者のNIHSS スコア,頭部CT 画像をサーバーに送信する.基幹病院専門医はRDICOM情報に基づきrt-PA の適応を判断,投与を指示する.その後,点滴静注しながら基幹病院へ搬送する.【結果】2012 年6 月~2013 年5 月に15 名が搬送され,rt-PA の適応があった5 名に来院から概ね1時間で合併症なく実施できた.【結論】本システムによる遠隔支援で,今までrt-PA 治療が不可能であった地域での実施可能性が示された.