抄録
要旨:症例は高血圧の既往のある42 歳男性.就寝前の後頭部痛に引き続く起床後のめまい,嘔吐で搬送された.頭部MRI およびMRA で左小脳半球に急性期梗塞を認め入院となったが,動脈解離を示唆する所見は認めなかった.抗血栓療法を慎重に継続した.第9 病日に嚥下障害を自覚したため頭部MRI およびMRA を施行し,対側の右小脳半球の新規梗塞巣と両側の後下小脳動脈の解離性動脈瘤が疑われた.脳血管撮影では両側の後下小脳動脈起始部よりpearl and string sign を認め,解離性動脈瘤と診断した.保存的治療のみで自覚症状も改善し,その後梗塞の再発は認めていない.本症例では左小脳梗塞発症の急性期に対側の小脳梗塞を発症し,原因としては両側後下小脳動脈単独の解離が疑われた.後下小脳動脈単独の解離は稀であり,さらに渉猟し得た限りではこのような形で解離を来した報告はなく,示唆に富むものと考えられた.