2014 年 36 巻 5 号 p. 356-360
要旨:症例は39 歳女性.第3 子出産の15 日前に中耳炎に罹患し,出産後7 日目に意識障害を生じて救急搬送された.髄液は蛋白細胞増多,糖減少が著明で神経画像で水頭症,両側視床梗塞,脳静脈洞血栓症を認めた.髄液,血液から肺炎球菌が培養され中耳炎・乳様突起炎が硬膜に波及して生じたseptic dural sinus thrombosis と診断した.中耳根治療法は行わず,抗生剤とヘパリンを投与して著明に改善し梗塞範囲の拡大を防いだ.意識障害から回復し退院時には経口摂取や会話も可能であった.