脳卒中
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症例報告
ステント留置が奏功した脳静脈血栓症の一例
朝来野 佳三善本 晴子湯澤 美季白水 秀樹石田 敦士新村 核根本 暁生松尾 成吾堀 智勝森山 貴
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2015 年 37 巻 2 号 p. 102-106

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抄録

要旨:症例はくも膜下出血を発症した49 歳男性.右中大脳動脈瘤クリッピング術の後,内外減圧術を行い,いったん脳浮腫は軽快した.第17 日病日ごろより,両側後頭側頭頭頂葉を中心に脳浮腫が再度悪化し,鉤ヘルニアを来した.MR 静脈撮影より左S 状静脈洞血栓症と診断し未分画ヘパリンによる抗凝固療法を施行するも,症状がさらに悪化したため,第28 病日に血管内治療を行った.バルーンによる血管形成術を施行しても左内頸静脈に高度狭窄が残存し良好な順行性血流が得られなかったため,狭窄部に頸動脈用のステントを留置した.術直後から脳腫脹と臨床症状が改善した.28 カ月後のMR 静脈撮影でステントの開存が確認された.本症例は,硬膜動静脈瘻を伴わない脳静脈血栓症に対してステント留置術を施行した本邦で初めての報告である.しかし現時点では,脳静脈血栓症に対する血管内治療のエビデンスレベルは低く,今後症例を重ね検討していく必要があると考えられた.

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© 2015 日本脳卒中学会
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