2016 年 38 巻 1 号 p. 14-21
要旨:【目的】回復期リハビリテーションを実施した脳卒中患者において,言語性・非言語性知能がADL 改善に及ぼす影響を検討した.【方法】回復期リハビリを施行した脳卒中患者146 名に対し,RCPM(Raven’s Colored Progressive Matrices)とMMSE(Mini-Mental State Examination)を施行し,ADL 改善に与える影響について検討した.【結果】MMSE のみの低下(M 群)は,左半球損傷で言語障害例に多く,RCPM のみ低下(R 群)では右半球損傷で視空間認知障害例に多かった.M 群は両者で低下のないもの(N 群)とADL 改善に差はなかった.R 群はN 群より在院日数が長く,退院時ADL が低かった.両者共に低下したもの(MR 群)は他の群に比べ,退院時ADL が低く,ADL 改善効率が低かった.また,MR 群はN 群より在院日数が長かった.【結論】MMSE は言語性,RCPM は非言語性知能を反映しており,両者の成績は退院時ADL やADL の改善に影響を与えることが示唆された.